なぜ、自分だけ生き残ったのか?NHKスペシャル『ドラマ 星影のワルツ』

■作:峰尾賢人、大石みちこ VFX:進威志 演出:川上剛

東日本大震災で発生した大津波にのまれ、一緒にいた妻(なぜか菊池桃子!)を喪い、自宅の屋根の破片にしがみついて3日間福島沖で漂流した後、海保に救出された男(遠藤憲一)の実話をドラマ化したもの。漂流中には、福島第一原発の水素爆発を目撃する。。。

■ハリウッド映画ではたまにあったりする素材だけど、日本でこんなのドラマ化できるのはNHKくらい。映画にするには地味すぎるから。しかも漂流シーンはかなりの部分を海上ロケによっていて、スタッフもキャストも船酔いが大変だったと思う。当然ながらVFXもあり、津波のシーンもNHKなのでかなりのクオリティ。よく作ったなあと、それだけで素朴に感心する。

■主人公は何度も挫けそうになりながら、渇きに耐えかねて小水を口にまでしながら、生きようとする。妻は津波に流されたのに、何の因果か生き残ってしまった自分の運命を呪いながら、それでも生きていこうとする姿にテーマは集約されている。シンプルだけど、強いドラマ。

■なんで生きているのかは誰も教えてくれないけど、生きている限り、生き続けるしかない。生にしがみつき、生きようとするしかない。生きたいと強く願いながら、死んでいったもの、死に追いやられたものがたくさんいるからだ。それが人生というのものなのだ。

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