痴人の愛
1967 スコープサイズ 93分
DVD
原作■谷崎潤一郎 脚本■池田一郎
撮影■小林節雄 照明■柴田恒吉
美術■間野重雄 音楽■山本直純
監督■増村保造
おなじみの谷崎翁の原作の映画化で、小沢昭一と安田道代が演じているのだが、正直なところ凡作だ。両者がほとんどの場面で半裸状態というのも凄いが、ナオミというヒロインの人間像に魅力が無く、単なるワガママ娘にしか見えないのは困る。
脚本に無理がある場合、増村の演出は形骸化してしまい、やたらと大仰な効果音ばかりが歪な印象を残すことに鳴る。ナオミが小沢昭一に馬乗りになり、わき腹を蹴る音が内臓破裂を心配するほどドスドスと響き渡り、尻を鞭打つ音が肉を裂かんばかりの鋭い響きを立てる。このスタイルの完全に形骸化したものが、後に大映テレビドラマ様式として嘲笑されることになるのだ。