ジェーン・エア ★★☆

Jane Eyre
1943 スタンダードサイズ 96分
DVD

■ロバート・スティーブンス監督版だけど、非常に画質の悪い非正規版DVDで、VHS画質以下。(ちなみに横に表示されているAMAZONの画面イメージは正規版のDVDなので、画質はずっと良好なはず。こっちを観れば印象がもっと良かったかもしれない)

■それでもジェーン・エアの子供時代の場面、特に寄宿学校の純粋にイジメにしか見えない仕打ちで椅子に立たされて孤立する場面など、演出も撮影も鮮烈によくできた名場面だし、馬に乗って登場するオーソン・ウェルズの場面などもモノクロ撮影の威力でシンボリックな意味づけがよく表現されているし、名場面が少なくないのだが、子役のペギー・アン・ガーナーの名演に比べると、成長してからのジョーン・フォンテーンが見事な大根演技で、急激にテンションが下がる。

■そもそも子供時代のジェーン・エアと成長した彼女の人間性が断絶しており、ちっとも一体感が無い。エドワードを演じるのがオーソン・ウェルズというのが本作の見所で、黒々とした異形感はさすがの貫禄だし、外套を翻して馬を駆る姿は(一部吹き替えもあるだろうが)異様なカッコよさである。

■お城の塔に狂った妻が幽閉されており、というゴシック趣味は原作の面白みで、演出的にも怪奇な雰囲気描写はあるのだが、正直なところ『私はゾンビと歩いた!』などの怪奇描写の卓越さに比べると平凡なレベル。子供の頃自分を虐待した伯母のところに帰って末期を看取る展開も説得力に欠けるし、メロドラマとしては出来が悪い。それに比べると、ウィリアム・ワイラーの『嵐が丘』は傑作だったなあ。

© 1998-2024 まり☆こうじ