細雪 ★★★☆

細雪
1959 スコープサイズ 105分(カット版)
KBS京都録画
原作■谷崎潤一郎 脚本■八住利雄
撮影■小原譲治 照明■久保田行一
美術■柴田篤二 音楽■大森盛太郎 特殊撮影■築地米三郎
監督■島耕二

細雪 [DVD]

細雪 [DVD]

  • 発売日: 2014/11/28
  • メディア: DVD

 没落しつつある芦屋の名家蒔岡家の本家が東京へ移転し、三女雪子(山本富士子)の縁談の話題が持ち上がる頃、四女妙子(叶順子)は奥畑のボン(川崎敬三)と叩き上げのカメラマン板倉(根上淳)との間で揺れ動いていた。芦屋を襲った大型台風の猛威から妙子を救った板倉と貧乏を承知で寄り添う決意を決めた妙子だが、その矢先板倉が病死、その妹は雪子に兄は妙子から金を引き出すのが目的だったと告白する。その後妙子の荒んだ男女関係から雪子の縁談は破談になり・・・
 長大な谷崎の「細雪」のなかから、特に三女と四女の恋愛のあり方を対比させて女性の生き方を探った文芸映画の佳作。とにかく、蒔岡家の四姉妹の演技合戦が素晴らしく、いったいどれくらい台詞あわせを行ったのかというくらい、見事な台詞劇である。特に、京マチ子山本富士子の掛け合いなど惚れ惚れとするニュアンスを生み出しているし、叶順子は体当たりでベテラン女優に挑む。原色の照明を大胆に使った島耕二の映像演出で、貫禄不足を何とかカバーしており、終盤近く、山本富士子と叶順子が鋭く対立する室内場面では、叶順子を照らし出す不気味な青い照明から、キャメラが次第に部屋の奥へトラックアップするにつれ、芝居に連動してオレンジ色に変化してゆくという、当時としても大胆だったと思われる色彩設計を施している。
 大型台風の影響で、鉄砲水のように濁流が波打ち、暴風が木々を揺らす芦屋川付近の数カットの情景描写がなかなか力の入ったミニチュアワークで描出され、もちろん俳優との合成カットなどは無いが、案外リアルな出来栄え。かなり大きなミニチュアセットを組んだようだ。
 長女の轟夕起子(旦那は信欣三!)は出番も少ないが、山茶花究京マチ子の夫婦はただただもの凄い説得力。アグファカラー(多分)の独特の色調と、コントラストの強い照明で心理描写のポイントを際立たせた映像表現にも見所が多い。
 肌理細かい生活描写と金銭を巡るエピソードのシビアな取り扱い、微妙な台詞廻しは、まさに大人の映画ならではの生活感覚(リアリティ)を描破している。市川崑の「細雪」の方が有名だが、演技合戦の妙味はこちらに軍配が上がる。

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