オブリビオン ★★★

OBLIVION
2013 スコープサイズ 124分
ユナイテッドシネマ大津(SC5)

■異星人の侵略を撃退したものの月を半分失い、地球を汚染させた人類は土星の衛星タイタンへの移住計画を進めていた。荒廃した地球上で海水を利用した核融合炉の監視を行っている主人公とその女性パートナーは単調な任務を楽しげに満喫しているようだった。だが、ある日NASAの宇宙船が不時着し、生存者の中に彼が何度も夢で見た女性の姿があったことから彼の世界認識は徐々に崩れてゆく・・・

■舞台設定とかSFのギミック等は案外こじんまりしているものの、さすがにトム・クルーズ主演の大作娯楽映画らしく大変楽しい映画に仕上がっている。ジョセフ・コシンスキーという監督はビジュアルセンスに秀でているようで、ギミックの数を限定したうえで、それぞれを劇的に使い倒す作戦とみた。そしてそれは見事に成功している。地球監視用のドローンという球形ロボや、主人公の乗る飛行メカなど、念入りに見せ場が作られている。物語のスケールは意外と小さいのだが、映像のルックは贅沢だ。

■中盤から登場するオルガ・キュリレンコがとにかく可愛くて仕方が無い。若い頃の水野美紀伊東美咲に似たチャーミングな女優だ。でも正直なところ、ドラマ的にはトムと公私共にパートナーとなるアンドレア・ライズボローのほうが良い味を出しており、後半可愛そうな三角関係に陥ってからは、メロドラマ的に気持ちよく泣かされる。NASAの宇宙船内での振舞いなんて、ほんとに短い描写なのに、彼女の気持ちの切なさに鼻の奥がツンと来る。いかにもSF的な図と地の逆転劇がかなり綺麗に物語られるのだが、それだけにとどまらず、メロドラマ要素も適宜取り入れた効果は絶大だった。

■さすがに超大作映画で、淡彩で影の薄いルックを綺麗に描写しており、デジタル上映では発色、精細感ともに極上であった。撮影には世界最高画質とも言われるソニーのシネアルタF65が使用されたそうだ。なお、空中タワーの撮影では、ブルーバックやグリーンバックの合成ではなく、背景にデジタル映像を映写して撮影する一種のフロント・プロジェクションが使用されている。これは予算削減に大きく寄与しているのではないか。しかも仕上がりは非常に綺麗で、全く違和感が無いから凄い。撮影監督はクラウディオ・ミランダ



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