ファインド・アウト ★★★

GONE
2013 スコープサイズ 94分
ユナイテッドシネマ大津(SC2)

■連続殺人鬼に監禁され殺されそうになったところを命からがら脱出した経験がある姉の妹が失踪。あの犯人が帰ってきたと考えた姉は警察に駆け込むが、頭がおかしい、妄想だと取り合ってくれない。タイムリミットは今夜と考えた姉は一人で捜査を開始するが・・・

■というお話で、警察では彼女の拉致監禁自体も信じておらず、ヒロインはその後精神病院に入院しているという逼迫した状況下で、孤独な犯人追跡を始めるが、そもそも妹の失踪は彼女の妄想じゃないのかという含みを残しながら、いかにも怪しげな町民たちが次々と登場して、意味ありげな言動を繰り広げるというサスペンス。確かに、ラストの解決については何パターンか用意してあったのかもしれない。思わせぶりな脇役やエピソードがほったらかしになっているのはその名残ではないか。

■しかし、クライマックスにはちょっと意外なひと捻りが用意されているし、犯人の意外性やその異常な犯意を描くことではなく、ヒロインの行動を描くことが主眼ですよという趣旨は徹底されているので、決して何かに失敗しているわけではない。サスペンス映画というよりも、復讐アクション映画なのだ。

■本来こうしたヒロインは精神的にも肉体的にも虚弱であったほうがサスペンスが盛り上がるのだが、本作はヒロインの設定がユニークで、護身術を習っているので格闘技に通じ、天性の口の上手さで、次から次へと上手い嘘を操って関係者から証言を引き出してゆくそのテクニックは、まさに詐欺師の域ですよ。それは、本作がサイコサスペンスでもサイコスリラーでもなく、能動的な行動の映画、アクション映画であることを示している。

■一方で、犯人の語る森での暮らしの部分など、不気味な仄めかしが効果的で、本作のもうひとりの主役は、闇深い”森”であることを物語っている。”森”の深淵とは人の”心”の深淵の隠喩であろう。受動的に植えつけられたトラウマをこんどは能動的に探り当て、立場を逆転させることで生き返り、成長するという、そんなお話なのだ。だから犯人が何者で何を考えたのかということはここでは重要ではないのだ。

■主演のアマンダ・セイフライド(サイフリッド?)は眼の大きさが一種異様な雰囲気で、精神的な不安定さを感じさせるルックが成功している。他にも鍵屋の親子などもほんとに良い風貌の配役で、楽しい。監督はエイトール・ダリアというブラジル人。で、撮影は小規模作品らしくレッドワン(エピック)を使用している。

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