アウトロー ★★★

JACK REACHER
2013 スコープサイズ 130分
MOVIX京都

アウトロー 上 (講談社文庫)
トム・クルーズ主演のアクション映画だが、非常に地味なところを狙った映画。60〜70年代のアクション映画を思わせるミニマルな渋い活劇を狙ったふしはあるのだが、実際のところはかなり変な映画になっている。非常に優れた演出もあるし、トムの大看板ぶりも頼もしいので、楽しく観られるが、お話としては疑問点が多々残る。ゆえにカタルシスも小さく、あまり成功作とは思えない。
クリストファー・マッカリーという監督は、なかなか渋い狙いを持っているようで、冒頭の狙撃シーンや夜のカーチェイスなども台詞に頼らず、サスペンスと官能性を生み出している。特にカーチェイスはトム自身が運転もこなしており、VFXによる不自然なキャメラワークは用いず、ライブアクションに拘ったあたりは頼もしい。特に音の演出が秀逸で、車のエンジン音を生かした演出は出色。ウォルター・ヒルの「ザ・ドライバー」を思わせる。
■しかし、お話はアクション映画としては成功とは言いがたく、特に悪役の造形や悪事の露見が浅く、クライマックスにカタルシスが足りない。原題どおり、悪事を描くのではなく、主人公を描くのだという趣旨だとしても、これはいただけない。
■それに、60〜70年代のアクション映画を標榜するなら、主役のトムに「漂泊感」が全く欠落していることが最大の欠陥になる。流れ者といいながら、バスで移動する労務者のおじさん程度にしか見えないのは演出のまずさだ。正直、アウトローというよりも、旗本退屈男に見える。