アウター・リミッツ S1「宇宙植物」「遊星衝突の危機」「月への亡命」

「宇宙植物」

■宇宙からやってきた謎の胞子が宇宙船で繁殖、ついに地上に落下する。。。

■という単純なお話だけど、それなりにサスペンスを含んでいるのは、コンラッド・ホールのシャープな撮影によるところ大。特に終盤のロケ撮影は、なかなかの見もので、宇宙植物は意外な弱点を晒す。当時のことゆえ、宇宙植物の作り物は合成ではない。手作業で作ったのだ。造形部の内職のおばさんのグッジョブだね。

■なんだかウルトラマンのエピソードを想起するなあ。

「遊星衝突の危機」

■遊園地の宇宙船は実は本物で、それぞれ現実世界に不満を抱く市民たちがエンピリア星人に拉致されるが。。。

■今見ると北朝鮮拉致問題にしか見えないお話だが、地球に不満を抱く一般市民を連れていってもなんの役に立たないだろうと言われて、エンピリア星人は納得する。

■何故か遊園地の宇宙船では国防省をドロップ・アウトした科学者が流れ者として働いているという設定で、自分なら科学者だからあんたの星に行っても役に立つけど、こいつらなんの役にも立たないぞと説得する。この科学者も軍事拡張競争に納得できずドロップ・アウトした現実逃避者なので、君たちの科学力を吸収したいと申し出るわけ。

■なかなか味わい深いお話で、悪い気はしない。

「月への亡命」

■月世界開発たけなわの頃、月面で謎の球体が発掘される。その中には異星人が封じ込められていた。彼らは母星の独裁者から逃れてきたというが。。。

ベトナム戦争で原住民を虐殺した事実を部下に責められる主人公は、フィアンセからもそんな人だとは思わなかったと詰られる。でも、母星からやってきた迎えの船が無情にも月の異星人を瞬殺する様をみて、フィアンセは改心する。現実は甘くない。あなたを責めるのは酷だったわ。って、いいのか、それで??

共産主義への恐怖と忌避感を隠そうとせず、月世界を舞台としながら、思いっきりリアルな、というか身も蓋もない60年代の東西冷戦下の世界観を描き出す、なかなかの快作。ただ、演出はダルだ。

■謎の球体の中に封じ込められた異星人の、1つ目の毛虫みたいなビジュアルが強烈で、しかも、水中でモデルを操作した映像が気色悪さを拡張する。ほんとに、このシリーズのクリーチャーって、グロテスクで良いよね。

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