ガンマー第3号 宇宙大作戦 ★★★☆

ガンマー第3号 宇宙大作戦
1968 スコープサイズ 77分
DVD
脚本■トム・ロー、金子武郎
撮影■山沢儀一 照明■梅谷茂
美術■江野慎一 音楽■津島利章
特撮■日本特撮映画株式会社
監督■深作欣二田口勝彦

■惑星フローラの地球激突を回避するため、惑星の爆破を成功させるが、隊員に付着した生物が宇宙ステーション内で電気エネルギーを餌に怪物化して増殖する・・・

東映とラムフィルムの日米合作による宇宙映画だが、アメリカ版は90分以上あることから、日本では短縮版が公開されたものらしい。キャストは皆外人なので、アメリカの弱小プロダクションが日本に下請けに出したというのが正確かも。東映としても、日本人が全くでない映画をかける枠も無いので、東映ちびっこまつりに短縮版をぶち込んだというのが真相じゃないか。

■しかし、この映画、SFサスペンスとしては、なかなか上出来で、アメリカではカルト映画になっているのも頷ける。タランティーノが深作にこの映画のLDを出してサインをねだったというのも納得。

■脚本はアメリカ中心で作成されたらしいが、遊星フローラ爆破後の、宇宙ステーション内での怪物との一進一退の攻防戦が非常に合理的で、サスペンスに溢れている。そこに、元は名コンビで、今は大佐と中佐に階級の差のできた軍人同士の確執が熱っぽく絡んできて、非常に密度の高い脚本だ。しかも、深作欣二の演出は60年代作家らしい職人技を着実に繰り出してサスペンスを盛り上げるし、男同士のぶつかり合いは東映作劇でお手の物だから、見事な構図とキビキビしたカッティングで活劇魂を注入する。こうしたカッティングの気持ちよさは、今時の映画ではなかなか味わえない。

■特撮は深作の盟友である矢島信男ではなく、東宝から独立したスタッフが興した日本特撮映画。矢島信男がテレビで忙しかったから外注したのだろうが、これが意外に丁寧ないい仕事。特に宇宙ステーションが大気圏に突入して燃え上がる豪快なクライマックスは、名シーンといってよい。さらに、ブルーバック合成が大胆に取り入れられており、技術的には相当稚拙なのだが、合成の使い方としては非常に上手い。宇宙空間での怪物との戦闘のバックで、脱出艇が飛び出してゆくカットとか、大佐が中佐を救出している背後に、燃え上がった宇宙ステーションが大気圏に落下してゆくといった、劇的効果満点の見せ場がいくつもある。

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