『バトル・ロワイアル』

基本情報

バトル・ロワイアル
原作・高見広春 脚本・深作健太
撮影・柳島克己 照明・小野 晃
美術・部谷京子 音楽・天道正道
監督・深作欣二

感想(旧HPより転載)

 何らかの基準によって選抜された中学生1クラスが無人島に連行されて最後の一人になるまで殺し合いをさせられるという話題のバイオレンス映画だが、単なるスラッシャー映画や残酷映画にならないのは深作欣二の作品だから当然として、意外なほど随分真っ当な青春映画になっているのは原作小説に忠実なためだろう。

 BR法の精神といったものが十分に説明されないため、この殺し合いが社会的にどんな意味を持つのかという視点が希薄になっており、そのせいで無意味な残虐シーンの連続という誤認というか意図的な曲解がマスコミを賑わわせることに繋がったわけだが、極限状態に置かれた中学生達が如何に生きぬこうとしたか、そこに齢70歳の老監督が何を共感したかという部分にこの映画の”映画的な”というよりも”社会的な”意義があるだろう。

 修学旅行中に突然拉致されたクラスが凄惨なサバイバルゲームの舞台に放り込まれたパニックを扇情的に演出した冒頭のシーンは深作欣二ならではのアクション演出が特に冴える秀逸な場面で、集団の動かし方などはあのいち早く香港映画的な活力を日本映画に導入した「里見八犬伝」のアクションシーンそのものといった様子で、残忍な流血の惨事をあくまで活劇として捉える視点が明確に打ち出される。

 さらに無人島でのサバイバルにはどう見ても太平洋戦争の玉砕の島を想起させる部分があり、ポール・バーホーベン同様に深作欣二の戦争経験者としてのトラウマが隠しようもなく露になっているのだが、原作に忠実ながらある意味で失笑を伴わないでもないあのラストの楽天性にはいささか面食らわないでもない。唐突に劇中に挿入される字幕はまるでTV版「花のあすか組」のようだし、こうした手法には脚本の深作健太の意向が忠実に反映しているのだろう。

 主演の藤原竜也前田亜季のコンビだけがちょっとキレイ事すぎるのが難点で、映画全体を甘くしているのだが、演技的にはどちらも好演である意味でキワ物になりかねない素材をまるでアイドル映画のように青春映画の範疇に引き留めることに成功している。逆に、それがこの極限状態の詰めの甘さにもなっていることは否めないが。

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