『誇り高き挑戦』

基本情報

誇り高き挑戦
1962/CS
(2003/1/29 レンタルV)
脚本/佐治 乾
撮影/星島一郎 照明/吉田一一
美術/荒木友道 音楽/河辺公一
監督/深作欣二

感想(旧HPより転載)

 兵器工場で大量の銃器が製造されていることを掴んだ業界紙の記者(鶴田浩二)は、東南アジア某国の反革命派が発注先であることを突き止めるが、背後には終戦直後にGHQの手先となって米軍による日本人殺害事件の隠蔽工作の尖兵となった元諜報機関員(丹波哲郎)が暗躍していることを知る。

 深作欣二若き日の社会派サスペンスで、この後も鶴田VS丹波のコンビは度々起用されることになるのだが、まだこの時点では問題意識の提起の仕方があまりに生硬で、聞いていて気恥ずかしくなるような科白も多数飛び交う、いかにも若書きといった風情の映画だ。

 ただし、日本を裏切り、利益を求めて革命派と反革命派を両天秤にかけて結局は自滅するしかない丹波哲郎の精悍な格好良さにはやっぱり痺れるし、早くもシネスコのスクリーンを縦に使うキャメラワークがお目見えして、映像スタイルとしてはまぎれもなく深作欣二そのものだ。

 高度経済成長期の日本を享受する若者(梅宮辰夫)を挟んで、戦争を引きずって戦後の日本を憎む男(鶴田)と、おそらく敗戦後に自分しか信じるものを持てなくなった男(丹波)が互いの”戦後”の正当性を主張しながら対立する。終生、敗戦体験を全ての出発点と定めて映画を発想し続けた深作欣二の真情が直截に表出した作品だが、この時期のこの路線の映画としては、やはり「狼と豚と人間」に止めを刺すのだろう。 

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