『吸血髑髏船』

基本情報

吸血髑髏船
1968/スコープサイズ
(2000/12/25 レンタルV)
脚本・下飯坂菊馬,小林久三
撮影・加藤正幸 照明・佐久間丈彦
美術・森田郷平 音楽・西山 登
協力・日本特撮映画株式会社 川上景司,福田八郎
監督・松野宏軌

感想(旧HPより転載:一部お話の内容を削除しました)

 双子の姉を亡くして牧師(岡田真澄)に育てられた娘(松岡きっこ)は浜辺に出現した謎の貨物船の中で死んだはずの姉に再会し、それ以降ふっつりと姿を消してしまう。一方、3年前にその姉と旦那である船医(西村晃)を殺して船の積み荷の金塊を強奪した男達(金子信雄小池朝雄、内田朝雄、山本紀彦)の周りに殺したはずの女が姿を現し、さらに台風で沈んだはずのあの貨物船が浜辺に姿を現して、ひとりまたひとりと死の淵に引きずり込んでゆく…

 物語はこの後、舞台を幽霊船に移し、西村晃がノリノリの怪奇メイクで強奪犯人達に襲いかかったり、彼の発明した特殊な薬品の作用で幽霊船が溶けだしたりといった怪奇映画的趣向のオンパレードで、それぞれの人物達にそれぞれ趣向を凝らした残酷な死に様が用意されており、そういう意味ではなかなか抜かりのないサービス精神満点かつコテコテの脚本である。

 さらに、幽霊に追いつめられるのがこれ以上ないといってもよい豪華な面々で、海底で踊る骸骨のシーンが腰が抜けるくらいマヌケであっても、辛うじて怪奇映画として成立することに成功している。当時、佐藤肇の諸作品で一躍怪奇スターと化していた西村晃まで担ぎ出してマッドサイエンティストを演じさせるという念の入った作劇には「吸血鬼ゴケミドロ」ほどではないにしろ怪奇映画的趣向の寄せ集めとしてのモダンホラー志向が見て取れる。ただし、物語としてはひたすら無理無体のゴリ押しで展開する、無茶にも程がある脚本であることは確実で、「吸血鬼ゴケミドロ」ほどの整合性もない。もっとも、当時の怪奇映画では物語の整合性に気を配ったもののほうが少なかったはずだが。

 しかし、最大の驚きは松岡きっこのキャスティングの見事さに尽きる。車を運転する金子信雄の前方の路上にバックミラーの中に姿を現して彼を錯乱させるという怪奇映画十八番のシチュエーションのなかでこれ以上ないほどの60年代的女幽霊の姿を完璧に演じきった彼女とジャンルの規則に忠実に従ってみせた松野宏軌の功績は大きい。


参考

同時期の傑作SFホラーです。この頃、松竹は怪奇映画ブームに乗ろうとしていたし、一方で松竹の大看板を隠しながら、ピンク映画の製作、配給にもこっそりと活路を見出そうとしていたのです。エロ、グロ、バイオレンスの時代にちゃっかり便乗しようと頑張っていたのです。
maricozy.hatenablog.jp
60年代の怪奇映画ブームはとにかく世界中で量産されたので、全体的に恐怖演出のリテラシーが上がり、低予算のテレビ映画でもびっくりするほど怖くて美しい作品が登場しました。その中での「ザ・ガードマン」の技術的な達成度は群を抜いていました。
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