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ザ・ガードマン 恐怖とサスペンス篇セレクション2 [DVD]
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■宝石泥棒が逃走中に逃げ込んだのは老婆とその嫁が経営する田舎のホテルだった。女だけだと安堵した犯人たちだが、実は老婆もほくそ笑んでいた。彼女らは宿泊客を殺して金品を奪う殺人鬼だったのだ。。。
■という、怪談というよりも、猟奇スリラーで、いつものような人間が幽霊に扮した吃驚ショーはなくて、まるで妖怪のような殺人鬼の老婆の姿がねっとりと描かれる、なかなかの力作。特に嵐の夜のホテルが舞台となる前半の映像造形が素晴らしく、当時の欧米の怪奇映画のルックに全く負けていないし、自ら怪奇派と自認する佐藤肇の作品と比べても遜色ない。黒田義之は映画ではあまりいい企画(脚本)を回してもらえなかったが、映画で怪奇映画を撮るべきだった。まあ、『妖怪大戦争』は撮ってますが、あれは愉快な妖怪映画だからねえ。
■停電した嵐の夜の室内の撮影はこってりした陰影の強いモノクロ撮影が絶品だし、特に照明効果は劇場映画並みの凝り方。蝋燭だけの場面など、光の揺らぎとかギリギリの暗さとか、モノクロ芸術ですよ。
■もとは地主の娘だったが戦後の農地改革で没落し、それでもまっとうに働く気は無くて、か弱い女は仕事なんてできないから、客を殺して金品を巻き上げるしか生きようがないじゃないかと開き直る、三条美紀演じる鬼婆は、途中から目を潰されて、ますます奇怪に変貌する。鬼婆らしく出刃包丁を研ぐ場面など、完璧な恐怖構図と原知佐子の芝居の絡みが素晴らしい名場面。後半は昼間の野外になってしまうのが残念だが、両手に出刃包丁でガードマンに迫る鬼気迫る演技はなんとも凄い見せ場。
■一方で鬼婆の嫁を演じるのが原知佐子で、これがまた実に美人に撮れていて絶品。もっと昔は、もっとボーイッシュであまり色気のあるタイプじゃなかったけど、この時期はさすがに色っぽくて、実相寺昭雄が惚れるのも納得。
■宝石強盗の木村玄が実にのりのりで気持ちよさそうに悪党を演じて、映画では大体端役なので、役不足だったのだなあとしみじみ感じさせる快演。木村玄の役者としてのポテンシャルもよくわかる。原知佐子が彼に散々いたぶられるのもいいぞ。でも一方的に被害者で終わらないのがザ・ガードマンの女なので、彼女も開き直って鬼婆に反抗する。さらに冒頭で殺される宝石店の店員がつるつるに若い橋爪功(台詞なし)!
■いやもう、前半の夜のホテルでのドラマが怪奇ロマン派には涎の出るくらいに上出来に撮れているから、好事家は必見ですよ。この1960年代当時は世界中でこうした怪奇映画が大量生産されていたので、怪奇シーンとかナイトウォークのシーンはこう撮れという暗黙のルールが世界中で共有されていたようだ。毎週量産されるテレビ映画ですらこのレベルの映像が撮られてしまうのだから、ほんとに量産するってことは「善」なんだな。同時に大映東京の技術スタッフ凄いなあ。