吸血鬼ゴケミドロ ★★★☆

吸血鬼ゴケミドロ
1968 スコープサイズ 84分
DVD
脚本■高久進、小林久三
撮影■平瀬静雄 照明■青木好文
美術■芳野尹孝 音楽■菊池俊輔
協力■ピープロダクション、 小嶋伸介、岡田元侑、三上睦男
監督■佐藤肇

■随分久しぶりに見直したが、配役の妙味が非常に楽しい映画だ。金子信雄は言うまでもなく、精神科医で極限状態に陥ることを楽しんでいる風情の加藤和夫も良いし、次期首相候補と自認する政治家の北村英三も意外なほど大きな役どころで、後半生き生きとしている。

■北村英三は関西新劇界の老舗だった京都の劇団くるみ座の創設メンバーで、劇団の運営が多忙だったとみえて東京にはほとんど行かず、京都の時代劇や大阪のテレビドラマなどで専ら活躍した俳優だけど、なにしろ関西新劇界では重鎮だったらしい。そのくるみ座も数年前に解散してしまったけど。

■それに加えて今回の新発見は楠侑子のエロさ。いかにも60年代風のロングヘアに物憂げな表情と、”あの時代”を濃厚に感じさせる佇まいが最高。ゴケミドロに憑依されて崖の上で人類に宣戦布告するのも素晴らしい。このあたりは佐藤肇のこだわりの配役ではないだろうか。

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