撮影は良いけど、お話の底が浅い...シリーズ第8作『新書・忍びの者』

基本情報

新書・忍びの者 ★★☆
1966 スコープサイズ 91分 @アマプラ
企画:藤井浩明 脚本:高岩肇 撮影:田中省三 照明:加藤博也 美術:太田誠一 音楽:渡辺岳夫 監督:池広一夫

感想

石川五右衛門とも霧隠才蔵とも関係なく、もっと時代を遡った戦国時代の「乱破」を主人公としたシリーズ第8作で、雷蔵のものとしては最終作。死後に松方弘樹でリブートされたけど。

■父を殺された霞小次郎(市川雷蔵)が犯人の三人の忍者への復讐を、20年後の家康(内藤武敏)と信玄(石山健次郎)の合戦のなかで果たすという盛りだくさんのお話だけど、メインストーリーに捻りがないので辛いし、雷蔵もさすがに年齢的にキツイ。もっと若い役者の演じる役どころだろう。

■信玄が石山健次郎で、恰幅は良いけど、あまり描き方に面白みがない。むしろまだ若い家康が見どころで、攻めてくると思った信玄が乱破に射殺されて、やった!助かった!死なずに済んだ!と大はしゃぎするのは演出的にはちょっとやり過ぎ感があるが、珍しい見どころ。

■いちばんの見ものは、キャメラマンデビューの田中省三の重厚な撮影ぶりで、さすがに宮川一夫の弟子。しかも『大魔神』の助手を経験しているので、全画とか作画合成を積極的に使って、いい効果を上げる。作画はたぶん渡辺善夫の筆。空に浮かぶ雲の情景や山城の断崖などをリアルに描出している。それに、忍術のシーンも工夫があり、伊藤雄之助雷蔵の攻撃を逃れるシーンなど、びっくりするくらい単純なトリックだけど、ひと工夫あり、編集の妙とともに、変に感心する。こうしたところは池広一夫のこだわりもあるだろうし、田中省三のアイディアもあるだろう。


© 1998-2024 まり☆こうじ