忍びの者 伊賀屋敷 ★★★

忍びの者 伊賀屋敷 [DVD]

忍びの者 伊賀屋敷 [DVD]

  • 発売日: 2008/01/25
  • メディア: DVD

忍びの者 伊賀屋敷
1965 スコープサイズ 89分
KBS京都録画 
脚本■直居欽哉服部佳
撮影■今井ひろし 照明■伊藤貞一
美術■太田誠一 音楽■渡辺宙明
監督■森 一生


霧隠才蔵の子供、二代目才蔵(市川雷蔵)は、徳川家転覆のため、紀州六十五万石の君主と由井正雪鈴木瑞穂)を焚きつけて老中松平伊豆守(山形勲)との対立を煽るが、事件の背後には意外な真相が潜んでいた・・・
 忍びの者シリーズの6作目だが、このシリーズのユニークなところは、忍者のアクションではなく、反逆者たちの耳元に機密情報を囁いて、反権力の闘争を煽る謀略戦に力点を置いているところだろう。そのおかげで今日でも興味深く観ることができる。
 今回は由比正雪慶安の変に取材して、権力に反旗を翻して滅び去っていった反逆者のロマンを謳いあげる・・・のかと思いきや、意外な構図が暴露して、権力闘争のむなしさが露見するという、なかなかの政治劇。
 今回は75分ほどのカット版なのだが、大映のこの時期にしても珍しいほど本格的な時代劇で、美術、照明、安定感ある構図、どれをとっても贅沢なモノクロ映画だ。変に煽らない森一生の演出が品良く心地よい。
 また、本作が妙に格調高いのは、舞台劇の映画化かと思われるほどに硬派な時代劇台詞のせいでもあるだろう。シリーズ中でも卓越した作品ではないか。

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