基本情報
濡れ髪三度笠 ★★★
1959 スコープサイズ 98分 @アマプラ
製作:三浦信夫 企画:浅井昭三郎 脚本:八尋不二 撮影:武田千吉郎 照明:岡本健一 美術:内藤昭 音楽:飯田三郎 監督:田中徳三
感想
■徳川家斉の三十八番目の若君長之助(本郷功次郎)は岡崎藩にあずけられていたが、偶然にもある藩の城主に選ばれる。老中は自分の娘が生んだ子どもを藩主にするため、長之助殺害を企むが、長之助は流れ者の半次郎(市川雷蔵)一行に守られながら、気楽なやくざ旅を進めていた。。。
■濡れ髪シリーズは初見ですが、その第2作ですね。田中徳三が初登場。なにしろ、田中徳三のデビューは1958年なので、東宝の岡本喜八、日活の中平康、大映東京の増村保造、東映の沢島忠などとほぼ同時代人で、日本映画の刷新をリードした人。そのすぐ後に、松竹からヌーベルバーグ派が現れるけど、その直前にもう少しオーソドックスな作家が揃っていたことは、認識されるべき。というか、日本映画史の有名な事実ですね。
■本作も、映像面ではかなりオーソドックスで重厚。撮影は、業界では慎重派といわれる武田千吉郎、照明が大御所の岡本健一なので、まあ豪華スタッフですね。美術装置も豪華だし、全盛期の余裕を感じさせる。
■お話はむしろ昔からよくある道中ものだけど、ちゃんとよくできている。クライマックスの本郷功次郎の見栄の張り方は、さすがによくできた作劇で、まあ誰が見ても納得するしかない趣向。さすがです。ちなみに、時代劇の大ベテラン八尋不二と田中徳三はなぜか相性が良くて、このあと『疵千両』という重厚な傑作があるし、雷蔵の『手討』も過小評価だと思うし、締めには『怪談雪女郎』がくる。
■本作ではあきらかに東映の沢島忠と錦之助のモダン時代劇が意識されているだろうし、若き雷蔵の軽快さがなによりのお楽しみ。後年はどうしても暗い役柄が多くなって、苦しかったけど、このスコーンと抜けた秋晴れのような軽みは、貴重なものだ。
■相方の淡路恵子がまた妙にいい調子で、しれっと前作からの関係性を受け継いで登場したかのように振る舞うけど、実は前作には出ていない!雷蔵との深い関係を背景にまわして、いかにもそれなりのエピソードがあったかのように物語る語り口の妙も味わい深い。しかも鉄火肌で粋筋の女の姿と立ち居振る舞いを、淡路恵子がたぶん完璧に演じている。それは、衣装であり、着物の着こなしであり、所作の物腰であるのだが、未通女の中村玉緒との対比もうまく見せて、実に色っぽい女っぷり。このあたりは、本当に眼福というもので、こんな情が深くて気風が良い女に追いかけられて逃げ回る雷蔵に嫉妬する。淡路恵子といえば、なんとなく社長シリーズの年増女というイメージだったので、完全にイメージが覆った。でも、『兵隊やくざ』ではあんな雑な扱いなんだけどね。。。
■最初期の田中徳三は、こんなモダン時代劇とか、狸御殿とか、やはり東映の沢島忠を意識した明朗な役どころをあてがわれた気がする。そこに1961年『悪名』の大ヒットがあって、ちょっと作風も変化する。でも、後年の耽美派の作風は大映の中でも独壇場だったと思う。再評価が待たれるところだ。
参考
maricozy.hatenablog.jp
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『ドドンパ水滸伝』て、意外といい音楽映画なんですよ。再評価希望!
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