それは勝利だったのか?苦い味わいが残る、シリーズ5作目『忍びの者 続・霧隠才蔵』

基本情報

忍びの者 続・霧隠才蔵 ★★☆
1964 スコープサイズ 91分 @アマプラ
企画:伊藤武郎 脚本:高岩肇 撮影:牧浦地志 照明:山下礼二郎 美術:西岡善信 音楽:池野成 監督:池広一夫

感想

■薩摩に逃げ込んだ真田幸村は島津氏の保護を受け、家康に対抗するために、種子島の三連発銃を調達すべしと進言する。島に潜入した才蔵は種子島氏が明国と密貿易して原材料を調達していることを知る。。。

■シリーズ第5作で、前作の直接の続編。池広一夫なので、メリハリのある演出がいい調子だけど、シナリオにおいて限界があった。また、クライマックスの活劇がコントラストの強い駿府城の屋根裏空間で展開されるので、もう地味なことこの上ない。池広一夫なのでアクションの手順は合理的に仕組んであり、丁寧に撮られているが、単純に見にくいし、冴えない。

■前作で死んだ武部与藤次の遺児が藤由紀子だけど、このエピソードも全く冴えず、どうも女たちの描写に興味がないらしい。藤村志保まで登場すけど、これも出てましたというレベル。ちなみに、キネ旬のデータベースに残るあらすじでは、藤由紀子が神父に預けられて尼僧になるはずだった。これは当時よくあることで、キネ旬は決定稿ではなく、準備稿で梗概を書いていたらしい。脚本の改定の段階で、かなり軌道修正がされたようだ。

■家康は小沢栄太郎に変更になり、城健三朗の真田幸村は島津氏に裏切られて負けを悟り自害するし、才蔵が古傷に毒を放って仕留めた家康も、75歳まで生きて今さら何もしのこしたことはないと言い残して、大往生する。才蔵は「殿、家康に勝ちましたぞ!」と嬉しそうだけど、徳川幕府はすでに盤石の支配体制を敷き、微動だにしなかったという苦い結末。そのあたりの徒労感ももっとプッシュすればいいのに。

■水中アクションとか、種子島のオープンセットとか、さすがに拘っているし、牧浦地志のモノクロ撮影も相当コントラスト強めのエッジのたったクールなルックなんだけど、クライマックスが不発なので、どうしても納まりが悪い。前作はなぜか異様な大作だったから、見劣りするせいもあるな。


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