原作:村上春樹 脚本:大江崇允 音楽:大友良英 演出:井上剛
■箱と空洞に関するお話。そして箱の中には光が詰まっているけど、主人公(岡田将生)の中身は小箱に入れられて、誰かに奪われる。主人公の働くオーディオ店でも、スピーカーの駆体は空虚な身体そのものだ。中には何か入っているのだろうか?叩けば音がして、中身の有無とか、その質感が捉えられるのか?まるで西瓜の食べ頃を吟味するように?
■そしてUFOとテレビは似ている、という発見。ともに光を放つ箱なのだ。その光は人を捉えて、どこか違う世界に誘う。主人公の妻(橋本愛)は、阪神・淡路大震災を中継するテレビを昼夜凝視し続け、何かが変質して家を出る。主人公のなかで、それはUFOの放つ光に惹かれる姿に重ね合わされる。明らかに『リング』が参照されているし、スピルバーグも当然意識されている。
■「随分遠くに来た気がしてきたよ」「でもまだ始まったばかりだから」ー1995年1月の、それまでの常識と信じた世界観が崩壊した、足元が崩れ落ちるような宙吊り感覚を的確に捉えていると感じる。それは井上剛も当時実感していたはずだ。
■でもそれはまだ1995年の始まりでしかなかった。まだ地下鉄サリン事件は起こっていない。恐怖の1995年。世紀末は1999年ではなく、恐怖の大王は前倒しで訪れたのだった。そして、大震災は繰り返し、箱の中に厳重に閉じ込めたはずの光が暴走し地に溢れるときが、やがて訪れる。。。不吉すぎる恐怖映画の傑作。
参考
実は、高橋洋の『恐怖』に似ている。怖いのは「闇」ではなく「光」だ。
maricozy.hatenablog.jp
井上剛の「ええ仕事」
maricozy.hatenablog.jp
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村上春樹は大森一樹の『風の歌を聴け』が良かったんだけどな。
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