そこのみにて光輝く ★★★☆

そこのみにて光輝く
2014 スコープサイズ 120分
DVD
原作■佐藤泰志 脚本■高田亮
撮影■近藤龍人 照明■藤井勇
美術■井上心平 音楽■田中拓人
監督■呉美保

■昨年度の話題作をやっと観たわけだが、これはなかなかの問題作で、いかにも70年代風日活映画風の青春映画と思わせて、その裏側にはかなり異様な図式が隠されている。

綾野剛は明らかに山の民のイメージが付託されているが、そのことを火野正平の不気味な存在感が説得力を持って納得させる。サンカとまでは言わないものの、一般民衆と区別された被差別民としての山の民。

■一方、浜辺のプレハブ小屋に住み売春で糊口をしのぐ千夏という女は、北海道のこととて所謂関西地方の被差別部落ではないものの、被差別民としての海の民のイメージが負わされている。監督は三重出身の在日韓国人なので、当然関西地方特有の、地方都市のリアルな差別のありようを下敷きにしているだろう。

■この二人が宿命的に惹かれてゆくのだが、それは以上のような境遇、宿命が反響しあったものだろう。そして二人の間で障害となるのが、今は植栽会社の社長である元ヤクザの存在。これもおそらく被差別民からヤクザになり、今は堅気になったものの、息苦しさから血が千夏を求めずにはいられないという因果な存在。おそらくは千夏と似たような境遇のなかで生育したにちがいないと匂わせる。

■この映画では「境界」がテーマとされ、綾野が千夏の家にはじめて足を入れる場面をわざわざ強調するカット割とか、ふすまの向こうで寝たきりの老人の性処理をする場面とか、いたるところに境界が設定され、海と陸の境界線上が二人の恋愛の特権的な舞台となる。

■呉美保は『酒井家のしあわせ』が上出来だったので腕がたつのは知っていたが、本作でずばりとマイノリティの立場から打って出た。そういえば『酒井家のしあわせ』もマイノリティの話だったか。

■制作はウィルコ、製作はTCエンタテインメント、スクラムトライ、函館シネマアイリスほか。文化芸術振興費補助金の助成を受けた。
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