基本情報
子連れ狼 親の心子の心 ★★★★
1972 スコープサイズ 81分 @BS松竹東急
原作:小池一雄、小島剛夕 脚本:小池一雄 撮影:宮川一夫 照明:中岡源権 美術:下石坂成典 音楽:桜井英顕 監督:斎藤武市
感想
■シリーズ第4作で、なぜか監督が日活出身の斎藤武市になり、撮影はついに宮川一夫が出馬する。斎藤武市は若山が東映で組んでいて相性が良かったので声がかかったのかな。昔見たときは、なにしろ初期の三隅研次作のインパクトが絶大だったので、いまいち感があったけど、久しぶりに見ると、十分に強烈で、凄い映画だった。
■一刀と柳生軍兵衛(林与一)の遺恨と、乞胸から別式女に転じたお雪(東三千)の哀しい運命を綯い交ぜにして進み、お雪の父(山村聡)の親心と被差別賤民としての意地に集約する。映画らしい人間関係の綾とかいっさいなくて、エピソードの串刺し形式で、ひたすらストレートな自分語りを拝一刀が受け止めてゆく。でも、それで何の過不足感もないので、映画って、難しい高尚なこと考えなくても、こんな感じで良いんだね。でも、尾張藩の使者に、卑しい身分でも、米食ってクソをひる同じ人間なのだと乞胸頭仁太夫の山村聡が主張する場面は、さすがに感動的で、小池一雄凄い。
■ちなみに、テレビ映画版では乞胸お雪のエピソードが欠番となっていて、ユニオン映画は何も説明していないけど、当時なんらかのクレームが入った可能性が高いだろう。いわゆる「糾弾」。あるいは、それを忖度して、存在を消した。原作がどんな描きかたで、TV版がどうアレンジしたのか知らないけど、映画を見る限り、非人ではない被差別民として乞胸(乞食、大道芸人、漂泊者など)を説明(小林昭二!)していて、「糾弾」対象になるのか?と思うけど、そもそも実在性が怪しい「サンカ」も糾弾対象としていたこともあるからなあ。というか、上記の通り乞胸頭が至極真っ当な主張をしているので、何の問題もないよね。
■なぜか忘れていたけど、妖剣を使う狐塚円記を演じる岸田森も、十八番の個性派刺客役で、期待通りの怪演。ことが終わるまで舌を噛むなよと東三千に囁くゲスさに痺れる。明らかに『血を吸う眼』を引用しているのも妙味ですね。そしてあの撮影、絶対刀を持つ手元が熱いよね。森ちゃん火傷したんじゃない?
■なにしろ宮川一夫のキャメラなので、おなじみの構図も頻出する。冒頭から増村の『刺青』の再現だし、橋の上で対峙する両雄の構図とかおなじみだし、父を求めてさまよう大五郎のシーンなど編集も含めて、後年のトリスのCMそのままなのが可笑しい。ラボが東京現像所なので(?)効果音も東宝のおなじみの爆発音で景気が良いけど、さすがに、東宝のような豪快な大爆発じゃないので、そこは寂しいよなあ。
■柳生烈堂はなんと遠藤太津朗に変更され、ラストの一騎打ちは少々力不足でしたね。林与一に大五郎が追い詰められたところに、「ちゃん!」と呼ぶと、桜井英顕の壮麗なテーマ曲に乗って一刀が登場する場面は、定番ながら燃えるよなあ。これでいいんだよ。これがいい。
参考
maricozy.hatenablog.jp
maricozy.hatenablog.jp
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斎藤武市はもともと小津のような映画が撮りたかったのに、日活映画であらゆるジャンルを撮って、東映京撮にも定着した。
maricozy.hatenablog.jp
