ジェット機内でバイオテロ発生!さまよえる韓国人『非常宣言』

基本情報

非常宣言 ★★★
2022 スコープサイズ 141分 @アマプラ

感想

■韓国発ハワイ行の旅客機内でバイオテロが勃発。乗客は徐々に謎のウイルスに感染し死亡してゆく。ハワイ上空で米国は着陸を拒否し、飛行機はUターン、手近な成田空港へ向かうが。。。

ハン・ジェリムが脚本と監督を担当した航空パニック映画だが、なかなか曲者で、結構謎が多い。「非常宣言」は飛行中に非常事態が発生した際に、機長の判断で機の進退を決められる状態のことで、終盤に成田空港へ進入する際にやっと発せられる。一番の謎は、撮影のルックで、常に何かの光のハレーションが発生しているという不思議な映像設計。画面内に光源があって、それがハレーションを起こしているのではなく、画面外にある(らしい)光源の影響で謎のハレーションだけを写し込んでいる謎なルック。わざわざそんな映像設計を行っているけど、単に見にくいだけだよ。

■ドラマ的にも謎で、バイオテロ犯を追う現場の刑事が女性国交大臣と互角に渡り合う人間関係は組織体制的に不自然だし、政府の対応を国交大臣に絞って描いたのも、あまりリアルに見えない。そのあたりは『新幹線大爆破』の方がよほどリアルだよなあ。

■新型コロナのパンデミックを踏まえて、祖国にも着陸できない状態を描いて、その批評的な作劇はさすがだし、航空機関係のVFXも見応えがあるので悪くはないけど、最近、史実を踏まえた韓国映画を続けて観たので、それに比べるとあまりにも作り事で空想的にみえてしまう。まあ、フィクションだから仕方ないんだけどね。ただ、成田への着陸を拒絶した日本政府の官房長官(?)のコメントはかなりリアルで感心した。成田管制塔の場面は韓国人俳優がカタコトの日本語を喋っているけど、官房長官だけはリアル日本人なのかな。

■刑事役のソン・ガンホも実際、役不足で、終盤の自分で抗ウイルス薬の試験台になる展開も、あまりに空想的で説得力がない。


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