基本情報
呪怨 終わりの始まり ★★☆
2014 ヴィスタサイズ 91分 @DVD
脚本:落合正幸、一瀬隆重 撮影:岡田博文 照明:舘野秀樹 美術:尾関龍生 音楽:上野耕路 視覚効果:松本肇 特殊造型:松井祐一 監督:落合正幸
感想
■おなじみ呪怨の実質的にはリブート企画で、でも次作でファイナルらしいので、ようはシリーズを終わらせるために俊雄くんと伽椰子さんは蘇ったわけです。その時点で、なんだか徒労感を禁じ得ないのですが、実際、だからどうなの?と感じますよね。ドラマがないから。
■時制をいじってパズル的な面白さを狙ったのが呪怨のキモだったわけですが、それやってしまうとパズルの楽しみだけで終わってしまうから、映画としての滋味が生まれない。実際、監督が落合正幸なので怪異シーンは悪くないし、伽椰子さんの登場もバッチリなんですが、だからどう?って話ですね。これに比べると『貞子DX』はちゃんとテーマがあったから、傑作に思えてくるよね。
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■落合正幸は普通のドラマを怪奇映画調に演出してしまうところがユニークな人で、近年の『微笑む人』は、だから傑作になった。それに比べると本作はホントに普通なんですよ。派手な音響効果も、『微笑む人』の、いつの間にか邪悪な空気が充満しているといった音響効果に比べると幼稚だしね。化け物の表現もなるべく現物(?)で撮り切りたいという姿勢は評価できるし、豪快な特殊造形も悪くないのだけど。例えば『アナベル 死霊館の人形』なんて、ちゃんと映画的なサスペンスも豊富だし、映画見た満足感もちゃんとあるからね。何が違うの?
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■佐々木希も悪くないし、女子高生三人組のなかにはなんと黒島結菜がいて、ちょっと嬉しくなるけど、あっけなく死ぬのはもったいないなあ。トリンドル玲奈は、よく分かりませんがね。。。
■そもそもの話で恐縮ですが、おなじみの以下の字幕自体が問題ありですね。
【呪怨】とは「つよい怨みを抱いて死んだモノの呪い。 それは、死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され“業”となり、その呪いに触れたモノは命を失い、新たなる呪いが生まれる。」
そもそも「業」て意味が違いますよね。場所に呪いが蓄積されるとか、いまどき差別と偏見以外のなにものでもないので、人権感覚が問われかねない、非常にまずいこと言ってますからね。知ってか知らずか。いや、そこは理解しておかないとまずいだろう。そこが理解できれば、そこからちゃんとドラマを抽出することができるはずだと思うがなあ。たぶん一瀬隆重は分かっているはずだけど、敢えて気づかぬふりしているのだろう。