基本情報
にせ刑事 ★☆
1967 スコープサイズ(モノクロ) 92分 @アマプラ
企画:伊藤武郎、宮古とく子 脚本:高岩肇 撮影:小林節雄 照明:泉正蔵 美術:間野重雄 音楽:日暮雅信 監督:山本薩夫
感想
■拳銃を盗まれて警官を辞めた男(勝新太郎)は、家業の魚屋を継ぐつもりが、たまたま知り合った幼稚園の先生(姿美千子)の受け持ちの子供が誘拐される事件が発生すると、俄然にせ刑事として捜査を始める。。。
■という変な話だけど、実際はもっと変なので驚く。山本薩夫が『白い巨塔』の次回作として大映で撮った映画だが、企画も脚本も謎だらけで、よほどの事情があったのだろう。脚本の高岩肇は何作も組んでいて、気心がしれているだろうし、過去にそれなりの秀作もあるのだが、本作は明白な失敗作。
■勝新演じる元警官が実家に収まるまでが第一幕、偶然電車内でチンピラに絡まれる女性を助けて、かえって怪我をさせるがマスコミに英雄として取り上げられるまでが第二幕、誘拐事件が第三幕といったところだが、肝心の誘拐事件がまったくお粗末で、銀行の不正融資とか政府閣僚の関与した裏金疑惑が背景にあるのだが、その面白そうな事件の摘発に動き出したところで映画は終わってしまう。そこから先が見たかったのに。
■加東大介と吉村実子を配置した勝新の実家の描写が長いのは、どうもシリーズ化を意識したものかもしれない。にせ刑事が勝手に事件に介入して、勝手に解決してしまうというコミカルな犯罪ドラマをシリーズ化しようとして、第一作を山本薩夫に任せたのではないかな。それにしては低予算だし、脚本の吟味が足りない。
■正直まったくいいところがない映画で、生きの良い吉村実子のはつらつさとか、何故か誘拐される子供が大魔神好きで、映画館で大魔神を上映してたりする小ネタが興味深いくらいのことで、ホントに山本薩夫が撮ったのかなあ?と感じる次第だ。脚本を読めば、なんだこれ?俺が撮るの?となるはずだもの。