その頃、永井智雄は熱かった!『JA750号機行方不明』

基本情報

JA750号機行方不明 ★★★
1959 スコープサイズ(モノクロ) 63分 @アマプラ
企画:芦田正蔵 原作:毛利恒之 脚本:直居欽哉 撮影:岩佐一泉 照明:岩木保夫 美術:大鶴泰弘 特殊撮影:日活特殊技術部 音楽:奥村一 監督:山崎徳次郎

感想

■事件記者シリーズで有名な山崎徳次郎の監督デビュー作で、新聞協会懸賞放送劇の映画化。事件記者シリーズの番外編かと思いきや、本作の方が先ですね。

■前半の闊達なドラマ展開と第三幕のほとんど台詞のない地味な展開がユニーク。というか、まあ素朴に地味です。地味だけど、ちゃんと墜落したセスナ機の実物モックアップも設置して、添え物番組とはいえ、監督デビュー作に花を持たせている。

■東京から甲府に左遷された若い新聞記者が待田京介で、地元のライバル社のベテラン記者が永井智雄で、しかも恋人の親父という関係で、セスナ機が山中に墜落したらしいと聴き込んだ二人は、それぞれに山奥を目指すが。。。

■前半の永井智雄の熱い芝居が見どころで、山本薩夫の映画などでは冷徹で理知的な冷たいイメージで抜群の存在感とリアリティを発する上手い人だけど、ここでは昭和の熱血親父で、地元の地方都市ならではの事情を無視してスクープをものにして東京に返り咲くことしか頭にない若者を厳しく諭す。なにしろ自殺した若い娘の写真を入手するために、葬式の遺影をパクって帰る外道なので、詰られて当然。待田京介の外道路線はここに胚胎していたのだ。

■山崎徳次郎の演出は日活リアリズム路線で、ロケ撮影をじっくりと見せる。まだこの頃は余裕があったので、小品だけどじっくりとロケ撮影を見せることができろのだね。脚本の直居欽哉も脂が乗っている頃で、待田京介と稲垣美穂子のロマンス部分も台詞がよく書けているし、現地甲府ロケ撮影も切れがよく快調で、叙情も上手いのだ。

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