アウターリミッツS1「地球は狙われている」「脳交換」「宇宙ビールス」

「地球は狙われている」O.B.I.T.

国防省の研究を受託するサイプレス研究所で研究員が殺害される。上院議員が乗り込んできて査問が行われるが、そこでは最新鋭の透視装置で所員のすべてを透視していたことがわかる。責任者の博士は精神病院にいるが、その装置で妻の不倫をさぐるうち怪物を見たといいだす。。。

■ほとんど舞台劇のような趣向で、つぎつぎと関係者が議員に査問される。単眼の宇宙人が登場して、その見せ方がなかなか秀逸で怖いので、当時のテレビ放送を観ていた子どもたちは震え上がっただろう。

■現代的な監視社会の恐怖をテーマにしているけど、確かに今も通用する風刺劇だ。ジェフ・コーリーという役者が演じる丸メガネの科学者がなかなかすごくて、演技も濃いけど、コンラッド・ホールの撮影が凝りまくりで、変な照明を作るし、異様な接写で撮るし、それでいてピントもぱきっと細密だし、まあ、凄い芸当。こうした舞台の限定された空間をいかに異様に撮るかという点で、画期的な仕事だと思う。

■そもそも、テレビドラマなんて、アップを主体として、ベタ明かりで撮れば安くて早いので、やる気のないスタッフだと、ホントにそんな仕事ぶりだったけど、コンラッド・ホールが撮れば、これだけ創造的な映像スタイルを構築できるのだ。

「脳交換」THE HUMAN FACTOR

■北極圏某所の米軍基地で、ヘクラ山から怪物がやってくるから早く爆破してしまえと少佐が錯乱する。精神科医が診察するが、互いの脳内を直結する最新鋭機器を使ったところ、地震による機器事故で人格が入れ替わる。。。

■いわば『転校生』ですね。おっさん同士だけど。アウターリミッツにしては珍しく純粋な怪談劇で、良心の呵責から死んだ隊員の亡霊を見ることになる佳作。まさに怪奇SF。その狂った少佐をお馴染みの愛川欽也があてている。

■佳作になったのは、精神科医とその助手の女性の恋愛劇をうまく絡めたところと、それによってサスペンスを生じたところ。脚本は、デヴィッド・ダンカンという人。人格が入れ替わって、狂った少佐は幽閉されるけど、目を覗き込んで中身は愛する精神科医と理解して、少佐の精神が乗り移って、核兵器ヘクラ山を爆破しようとする精神科医の暴走を妨害する。

コンラッド・ホールの撮影は今回それほど濃密ではないけど、随所に異様なアップショットがあったり、ヒロインのサリー・ケラーマンを色っぽく撮っているところはそれらしい。しかも、お若くてお肌もきれいなので、不自然なソフトフォーカスじゃなくて、ぱきっと硬く撮ってます。『絞殺魔』とか『M★A★S★H マッシュ』にも出てる有名な女優ですね。

■吹替版は声優が粒ぞろいで味があるのだけど、効果音がいかにも後付けで興を削ぐなあ。特に、やたらと目立つ単調な「靴音」ね。

宇宙ビールス」CORPUS EARTHLING

■(多分宇宙から来た)岩石が地球侵略を開始するが、戦傷で頭部に金属を埋め込んだ医師には、彼らの会話が聞こえていた。ノイローゼと思った医師は静養のため妻とメキシコ旅行に出かけるが、岩石に侵略された科学者が後を追う。。。

■よーし、そろそろ待ちに待った地球侵略を始めるぞ!でも俺達、このままじゃただの石だし、どうします?人間に乗り移るのだ!じゃ、手始めに、あの男ですかね?いや、だめだ、あの男は頭がいかれているから、別の奴にしろ。というわけで、コントのようなやりとりを経て、遠い昔に宇宙から飛来して岩石に同化していた宇宙ビールス(仮称)が活動を開始します。

■でも、主人公は戦争で頭部を負傷して、手術後にどうもメンタルな後遺症があり、宇宙生命にまで差別されてしまいます。不憫。療養のために奥さんと一緒に、念願のメキシコ旅行(新婚旅行)に出かけるけど、自分たちの会話が聞こえる医師を宇宙岩石は執拗に後をつけます。

■これも鄙びた怪奇風味と寂寥感が味わい深いエピソードで、おなじみの宇宙人の侵略話なんだけど、後半の舞台はメキシコの片田舎の一軒家で、地元の農夫が世話を焼き、何も事情を知らないのに、邪気を祓うには火を焚くことですわといって、外で呪いのように火を燃やすし、奥さんが老婆に変貌して逃げた夫を探し出して、土地の風土病でわしの女房も同じように干からびて死んだけど、旦那さんも奥さんを見捨てちゃだめだと諭される。という、土俗的な光景がリアルないい味を醸し出す。SFじゃなくて、土俗的なホラーに見える。撮影はもちろん、コンラッド・ホール

■そして、このシリーズでは多い夫婦善哉のお話。若者たちの恋愛劇ではなく、結構年のいったカップルたちの恋愛劇や夫婦愛のお話になるのは、このシリーズの大きな特徴だなあ。まあ、今回は悲劇に終わるのだけど。

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