悪魔が呼んでいる ★★★

悪魔が呼んでいる
1970 スコープサイズ 75分
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原作■角田喜久雄 脚本■小川英
撮影■原一民 美術■本多好文
照明■佐藤幸次郎 音楽■真鍋理一郎
合成■三瓶一信
監督■山本迪夫

酒井和歌子心理的に追い詰められてゆくニューロティックスリラーだが、発狂するところまではいかずに、悪人たちの企みが中盤で判明する。やくざ者の今井健二がご丁寧に全部説明してくれる。何しろ中編映画という構えなので、ご都合主義のスピード展開は致し方ないが、配役の顔ぶれだけで楽しくて仕方ない。
今井健二の情婦(?)役の田村奈己が完璧な70年代ファッションで、無駄に綺麗なのに見せ場がないのがもったいないが、本人もあまり演技的にはやる気はなかったみたい。西沢利明がほとんど『ゴジラガイガン』と同じ感じで登場するし、藤木孝も期待通りの粘着演技でノリノリ。
■しかし何故か民芸ユニットで登場する大滝秀治北林谷栄のコンビの毒々しさは圧巻で、凄い凄い。ラストの北林谷栄の独白の綿々たる怨念のどす黒さはさすがの演技派でもあるし、佐藤幸次郎の照明も凄い。山本迪夫という人は演出スタイルが最初から完成していて、同時期の怪奇映画も基本的に同じような筋運びと画面構成になっている。ワンパターンともいえるが、これほど自分のスタイルを忠実に守った人も珍しいだろう。
■独白する北林谷栄を身を寄せ合って呆然と見つめる酒井和歌子新克利にズームして終われば、完全に「血を吸う」シリーズだが、本作はスリラーなので、一応場面転換して無理やり爽やかに終わる。70年代東宝映画ならではの寄る辺ない風情がなんとも言えない、捨てがたい味がある。後のテレビの2時間ドラマにもこの手のスリラーはいっぱいあるので、だれか体系的に発掘してくれないかなあ。