血を吸う薔薇 ★★★

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血を吸う薔薇
1974 スコープサイズ 83分
DVD
脚本■小川英、武末勝
撮影■原一民 照明■森本正邦
美術■薩谷和夫 合成■三瓶一信 音楽■真鍋理一郎
監督■山本迪夫

■何度見ても今ひとつ残念な感じの本作なのは、妙にオールスターは配役のせいもあるし、真鍋理一郎の音楽も前作に比べると本気度が足りない。前作のゴリゴリに硬派な楽曲、効果音に比べると大分甘目だ。

■もっとも違和感があるのは、主人公が黒沢年男なので、恐怖シーン、ショックシーンの演出のあり方が変化していることだ。何しろ、黒沢年男が何事かに驚いてから、その対象が提示されるという不可思議な編集になってるのだ。通常は吸血鬼なりが、ドーンと出てから、そのリアクションカットになると思うのだが、ここではそれが逆に置かれており、ちっともショックシーンになっていない。(※編集が池田千代子で、独特のリズム感を持っている人なので、あえて普通の逆を試している可能性大)

■オーディオコメンタリーでは原一民が、当時の記憶を語っており、雑木林のシーンのつぶしによるナイトシーンの苦心について力説している。確かに、夜間ロケでは、雑木林の木立の細部や陰影が出ないわけで、つぶしならではのディテールの効いたナイトシーンはありえない幻想性を生み出しているわけだ。

■改めて見直すと、「血を吸う眼」に比べると大分甘目のキャメラワークで、西垣六郎と原一民のセンスの違いが確かにあることを教えてくれる。本作ではクレーンとか、細かいドリー移動とか、流麗なキャメラワークが意識されている。照明のタッチも、大分違いますな。


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