マレフィセント ★★★

MALEFICENT
2014 スコープサイズ 97分
Tジョイ京都(SC10)

マレフィセント (ディズニーアニメ小説版)
■『眠れる森の美女』を、姫を呪った魔女を主人公として再構成してみせるという見事な芸を見せる意欲作だけど、日本語吹き替え版で観たのが悪かったのか、正直乗り切れない感じがした。魔女ではなく、妖精の国の女闘士としてのマレフィセントの吹き替えが妙に生硬に感じられたのだが、アンジーの演技が実際そんな感じなのだろうか。
■着想と筋立てとしてはかなり良いと思うのだが、マレフィセントとステファン王の因縁をクライマックスで案外あっさりと始末してしまうのも勿体無い話で、メロドラマの見せ所なのに、この監督わかってないなあと感じたよ。監督はロバート・ストロンバーグという美術監督出身の人だが、単純に演技がわかってないと思うなあ。三人の妖精の子育てがでたらめで、見てられないと手出しをしてしまうあたりも上手い見せ場なのに、どうも演出的には分かって撮ってるのかなあという手つきなのだ。
■日本語吹き替え版については、オーロラ姫を人妻の上戸彩が演じているのもなんともずうずうしい話で、何の冗談かと思う。ただ、演技的には上手いから結果オーライだけど、誰を釣ろうとしているのか。さらに主題歌を歌い上げるのは大竹しのぶだ!一体、大竹しのぶが主題歌を歌って、誰が喜ぶのだい?日本のショウビズ業界のくだらない裏事情が透けて見えるような、観客不在の配役で、妙にゲンナリしたことであったよ。

© 1998-2024 まり☆こうじ