スタンドアップ ★★★

NORTH COUNTRY
2005 スコープサイズ 124分
DVD

■鉱山で働くシングルマザーの労働者が職場に蔓延する女性蔑視のハラスメントに嫌気がさして集団訴訟を提起した実際の事件を映画化したもの。ニキ・カーロ監督の語り口は案外淡々としているが、脚本がしっかりしているからちゃんと劇的に盛り上がる。特に、終始娘と対立していた同じ鉱山で働く父親が娘を援護する労組大会の場面は上出来。これがドラマらしいドラマというものだ。

■他にも、難病を押して裁判を傍聴するフランシス・マクドーマンドが元の同僚の女たちをギロリと一瞥する場面とか、彼女を支えるショーン・ビーンの渋さとか、脇の配役も結構豪華で見所は多い。荒くれ男たちからひどい仕打ちを受けるミシェル・モナハンも小さな役だけど儲け役だろう。

■確か日本には亀井文夫監督の『女ひとり大地を行く』という鉱山労働者の女たちを描いた独立映画があるのだが、こちらは完全に共産党組合的な視点から現業性労働者を描いているらしい。未見なのでそのうち図書館で借りて観るつもりだが、それに比べると、こちらはそもそも主人公たちは組合に組織されていないから、主人公たちの苦境も戦い方も大きく異なっていることだろう。

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