駆込み女と駆出し男 ★★★☆

駆込み女と駆出し男
駆込み女と駆出し男
2015 スコープサイズ 143分
DVD
原案■井上ひさし 脚本■原田眞人
撮影■柴主高秀 照明■牛場賢二
美術■原田哲男 音楽■富貴晴美
監督■原田眞人

■奇抜なタイトルのせいで損していると思うが、非常に立派な時代劇大作である。製作費も潤沢らしく、撮影も照明も非常に立派。キャメラマンの柴主氏は間違いなく名手だが、リアルな時代劇照明を目指したと思しい牛場賢二の照明も秀逸。ただただ映像を眺めるだけでも日本映画の贅沢を堪能できる良作。ナイトシーンの提灯や行灯の描き方に意欲が表れている。

■お話は、実在の駆け込み寺の東慶寺を舞台とした、いわば秘録おんな寺である。ただ、エロ要素は当然少なくて、代わりに男尊女卑の時代に生きた女たちの哀感を盛る。そこに、大泉洋演じる医師志望&戯作者志望という特異過ぎる狂言回しを配置するのだが、演出と演技のうまさでなんとなく納得してしまう。

満島ひかりはもう少し個性を抑制する方向で演技を微調整した方がいいし、戸田恵梨香は当然これくらいできる娘なので、演技的には実はそれほど褒めるところはない。ただ、配役のアンサンブルとその裁き方の手際の良さで長尺を飽きずに観てしまう。原田眞人はほとんど巨匠の域に入った。鳥居耀蔵を演じる北村有起哉の演技がほとんど北村和雄で可笑しいが、彼の使う密偵の設定も、さらっと流して描くのだが、えらい攻めてるなあ。

■製作は、松竹、バンダイビジュアルポニーキャニオンほか、制作は松竹撮影所。

© 1998-2024 まり☆こうじ