TAKE THIS WALTZ
2012 ヴィスタサイズ 116分
Tジョイ京都(SC12)
■カナダのインディペンデント映画界で進展著しく、かと思えばB級ホラーにも積極的に出演する風変わりな実力派女優、サラ・ポーリーの監督第2作目が、何故か夏休み興行の真っ只中に公開されたのに驚いて出かけてしまった。こっそりと小さな事件を起こしているよ、Tジョイ京都。
■お話はある意味ありふれた不倫劇なのだが、脚本、演出のサラ・ポーリーの微妙なセンスとか人間洞察が交じり合って、かなりユニークな作風となっている。ガーリーでお洒落な美術や装飾、撮影があったかと思えば、一方でシャワー室のシーンのように女のありのままをリアルに映し出すシビアな演出も繰り出すし、終盤では現実なのか主人公の妄想なのかも敢えて明確にしない作劇で、不思議な宙吊り感を味わうことになる。
■主演のミシェル・ウィリアムズは「マリリン 7日間の恋」でマリリン・モンローをなりきり演技で演じきったあの女優だ。しかも、それに気づいたのは映画を観終わってからだ。美人すぎず、もう若くもない人妻の微妙な欲求の崩れ方を体現した好演。
■正直、こうした不倫劇は掃いて捨てるほどたくさんあるので、お話としては新味が無いが、サラ・ポーリーのシニカルな話術についてはちょっと面白い。セス・ローゲンという役者をほとんど初めて観るので、この夫婦のコミュニケーションの(すれ違いの)部分が十分に汲み取れなかった気がするなあ。