太平洋ひとりぼっち ★★★

太平洋ひとりぼっち
1963 スコープサイズ 97分
BS2録画
原作■堀江謙一 脚本■和田夏十
撮影■山崎善弘 照明■藤林甲
美術■松山崇 音楽■芥川也寸志、武満満
特殊撮影■川上景司、金田啓治
監督■市川崑


 さすがに和田夏十が脚本を書き、全盛期の市川崑が演出にあたるので、むずかしい素材に時代に対する批評性を盛り込んで、洒脱かつ重厚な出来栄え。サンフランシスコロケの場面が、国内で撮影したカットに比べるとどうしても密度が薄く、この時代の日本映画の限界も感じさせるが、巨匠が二人がかりで手掛けた音楽のバラエティも豊かで、華やかな娯楽映画になっている。

 設立間もない円谷特技プロが手掛けた嵐の場面のミニチュアワークも、複数の場面に散りばめられており、市川崑らしい飛躍のある編集のおかげで、ミニチュアらしい不自然さは無い。ベタ凪の大阪湾の情景などもミニチュアである。特撮班はかなりの分量を回したようだ。

 狭いヨットのセットのなかや、主人公の生家での森雅之田中絹代との芝居の見せ場では、藤林甲のコントラストの強い照明効果が抜群にカッコよく、今の基準でみればリアルな照明ではないかもしれないが、陰影の面白さは造形美といえる。

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