獄門島 ★★★

門島
1977 スタンダードサイズ 141分
DVD
原作■横溝正史 脚本■久里子亭
撮影■長谷川清 照明■佐藤幸次郎
美術■村木 忍 合成■三瓶一信 音楽■田辺信一
監督■市川崑


 昔はテレビで何度も放送されていたが、トリックが「きちがいじゃが仕方がない」という台詞に集約されるせいで近年はほとんど見かけなくなった。NHKのBS2で放送されたバージョンは、台詞のカットは一切なく、しかも非常に綺麗なプリントで、新鮮な感動をもって観ることが出来た。

 トリックも、ストーリーテリングもあまり巧くなく、市川崑の映画としても、かなりレベルは低い映画だが、なんといっても田辺信一のテーマ曲が一度聞いたら忘れられない傑作なもので、映画音楽を聞いているだけで、幸せな気分に浸れる。

 佐分利信の演技がこれほど荒れていたとは意外だが、浅野ゆう子は案外よくやっているぞ。変に考えていないところは、今より上手いかもしれないくらいだ。

 そうそう、屋敷のセットの床や梁がつやつやと黒光りする見事なセットは、やはり監督か大映京都のようにと指示が出たものだろう。建材の質感を際立たせる照明の当て方などもいかにも大映京都風だ。なにしろシリーズ第1作「犬神家の一族」の照明は岡本健一だったのだ。この大掛かりな屋敷のセットは見ごたえがあるよ。

© 1998-2024 まり☆こうじ