若い人 ★★★☆

若い人
1952 スタンダードサイズ 114分
BS2録画
原作■石坂洋次郎 脚本■内村直也、和田夏十市川崑
撮影■山田一夫 照明■石井長四郎
美術■河東安英 音楽■芥川也寸志
監督■市川崑

■ふしだらで酒乱の母親のようになることを恐れるあまり不安定な女学生を立ち直らせようとする新任教師は、その思いを恋愛と混同してしまう・・・

■いかにもアイドル映画に相応しい物語だと思ったら、実際、戦前戦後を通じて何度も映画化されているのだ。往年の澤井信一郎などが撮れば青春映画の傑作になったであろうと想像させるエキセントリックな物語だ。

■特に、女学生の母親のだらしなさは今回杉村春子が演じて、グロテスクなほどだし、複雑な心理劇を演じる女学生の島崎雪子の振幅の大きい異様な女性像のユニークさが作劇の魅力であり、誠実に演出してみせた若き日の市川崑の佳作である。

■主人公池部良と同僚教師の久慈あさみの間に割って入って画策し、ストーカーのように付きまとう島崎雪子の悪魔的な人間像も凄いが、女学生を真人間にしたい一心で接近するものの、ずるずると関係を持ってしまうばかりに、女学生と行く先の知れぬ腐れ縁を結んでしまう池部良の未熟な青年像がリアルで凄い。理知的なあまりに池辺良との恋愛に成功しない久慈あさみの未熟さにも目が行き届いており、非常に人物造形のよくできた脚本である。

■難を言えば、久慈あさみが二十代前半の若い女教師には到底見えないことくらいだ。きっと髪型が悪いのだ。

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