『キューティーハニー』

基本情報

キューティーハニー
2004/VV
(2004/6/12 TOHOシネマズ高槻/SC5)
原作/永井 豪 脚本/高橋留美庵野秀明
撮影/松島孝助 照明/吉角荘介
美術/佐々木尚 音楽/遠藤幹雄
キャラクター・デザイン/寺田克也安野モヨコ出渕裕すぎむらしんいち貞本義行
特殊メイク/原口智生 監督補/尾上克郎摩砂雪
VFXプロデューサー/大屋哲男 VFXスーパーバイザー/佐藤敦紀、道木伸隆
特撮監督/神谷 誠 監督/庵野秀明

感想(旧HPより転載)

 亡き父親の残したI(アイ)システムで不死身の体に生まれ変わった如月ハニー佐藤江梨子)は警視庁のはぐれ女刑事(市川実日子)の協力を得て父の仇パンサークローに復讐の炎を燃やすが、叔父の宇津木博士(京本政樹)まで敵の手に落ちてしまい・・・

 といういかにも東映チックな物語を安手のVFXとデジタルビデオカメラ撮影で描いたいかにも低予算の実写アニメ(?)映画だが、その演出の力の抜け方が見所。東映戦隊シリーズなみの安手のVFXも低予算を逆手にとってあえて狙っていることは明らかで、とどめにハニーメーションなどというアナログ・デジタルな手法まで飛び出してやりたい放題だが、本当はもっと真面目に取り組みたかったのではないだろうか。

 ただ、興行戦略的には完全に目論見を誤っており、ヲタクを狙ったハニーのキャラクターデザインとアニメ的性格付けは、女同士の友情を謳いあげる女性観客向けの作劇と乖離を起こしており、せっかく狙った女性客の不評を買っているのも、無理からぬことだろう。若い女性客を意識しないとヒットに結びつかないご時世の分の悪さを意識しすぎて、肝心のコアなマニアを唸らせるクライマックの大アクションと劇的カタルシスを提供できなかったのは、全く残念なことである。もちろん、予算的制約もあるだろうが、冒頭の破天荒なアクションを凌駕する趣向が無ければ、男の子映画にはなりえないのだ。

 それでもこの映画がチャーミングで悪い気はしないのは、ひとえに佐藤江梨子の素材の良さによるもので、反目しながら結びつく市川実日子の可愛さと好対照となって、映画の求心力となっている。一方、ブラッククローのアニメ的なデザインとキャラクターを完璧に演じきる及川光博の人間アニメ的個性の特異性は圧巻といえるだろう。

 願わくば、パート2でサトエリハニーの痛快でお間抜けで、ちょっとエッチな大活劇を見せて欲しいものだ。ちなみに監督は庵野秀明でなくてもOKだからね。

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