SPACE BATTLESHIP ヤマト
2010 スコープサイズ 138分
ユナイテッドシネマ大津(SC4)
脚本■佐藤嗣麻子
撮影■柴崎幸三 照明■吉角荘介
美術■上條安里 音楽■佐藤直紀
VFXディレクター■渋谷紀世子
監督、VFX■山崎貴
■とにかく色んな意味で中途半端な特撮大作。特撮大作にしては、各シーンの見せ場は淡白で、肝心のところを詳細に見せてくれないし、古代進が艦長として成長してゆくドラマにしては、強引に森雪とのラブロマンスが介入してきて、後半ぐずぐずに崩れてゆくし、観終わって、完全燃焼したというカタルシスが無い。
■そもそも宇宙戦艦ヤマトそのものがあまり活躍しないし、ワープ航法のシーンなんて、煙とともにスポンッて感じで出現するという、忍術自来也かと突っ込みを入れたくなる謎のVFXも理解しがたい。ガミラスの巨大空母などのCGは十分にハリウッドレベルなのだが、見せ方が不十分なので、生かし切っていない。肝心のラストもヤマトの艦体がどうなったのかは描かれず、スペクタクルな見せ場を避けているとしか思えない。
■というのも、すべては製作費の少なさに起因しており、特にそのことが顕著に表れたのが本編セットの規模の小ささである。メインセットとなる艦橋内の狭苦しさは特筆もので、合成を多用してスケール感を出すのかと思いきや、デジタル合成は極力避ける方向で、環境内から外部を見せるカットもほとんど無いという異様な窮屈感。そういえば、ヤマトが飛び立つシーンも、ヤマトのCGはたしか2カットしか無いのだ。とにかくVFXを白組内部でやりきるために、極力VFXカットを絞り込むという制作方針らしく、スケール感とスペクタクル感が感じられず、宇宙が広大に見えないこと夥しい。正直言って、「ゴジラ ファイナル・ウォーズ」の方が大作感は勝っているぞ。
■これまでも書いてきたことだが、日本映画でハリウッド的な特撮大作という考え方は捨てた方がいい。そんなものはハリウッドに任せておけばいいのだ。日本映画におけるVFXは、縁の下の力持ちに徹するか、一点豪華主義で勝負するしかないのだ。
■製作はTBS、東宝ほか、制作はROBOT。