夏バテに効く?ゆるっとSFコメディ『サマータイムマシン・ブルース』

基本情報

サマータイムマシン・ブルース ★★★
2005 ヴィスタサイズ 107分 @DVD
原作:上田誠 脚本:上田誠 撮影:川越一成 照明:加藤弘行 美術:相馬直樹 音楽:HALFBY VFXディレクター:山本雅之 監督:本広克行

感想

■おなじみのヨーロッパ企画のヒット舞台を監督の故郷・香川ロケで映画化したもの。製作はなんとROBOTで、阿部秀司が製作総指揮という、なかなかの大作仕様?フィルム撮影ではなく、フルデジタル撮影らしいから、実験的な制作体制だったらしい。

■SF研のメンバーが壊れたエアコンのリモコンを調達するため、タイムマシンで昨日に戻ったり、行ったり来たりを繰り返しながら、一方でタイムパラドックスを回避しようとするが。。。当然、タイムマシンは未来からやってくるのだ!

■エアコンのリモコンはどんな経緯をたどるのか、校庭のかっぱ様の像の由来はなんなのか、そんなギミックをいろいろ回収したり、煙に巻いたりしながら緩いコメディを展開する。昨日のSF研のメンバーたちを、実はこっそり今日のメンバーたちが伺っていたり、控えめに介入したり。SF研メンバーのムロツヨシが徐々にアドリブ臭を強くしてゆき、目立ってくるのが妙なところ(計算通り?)。それに比べると瑛太はなんだか、まだまだだな(何が?)。

■時間の行き来をわかりやすく見せるために、スプリットスクリーンが使用されるけど、上下に分割されるのは、ちょっとおもしろかったね。じっさい、分かりやすいし、良いと思います。音楽にも『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の印象的な旋律を微妙に引用したり、部室に『マタンゴ』のポスターが張ってあったり、好き者の琴線をくすぐるんだけど、あまり意味はないけどね。『ビューティフル・ドリーマー』の音楽的引用はちょっとずるいなあと思ったけど。

■あと美点は、香川ロケのユニークな風景が生かされていることで、映像のちょっと人工的なルックから合成かとおもったけど、実景だそう。背景のおむすびのように丸っこい山など、ファンタジーな画合成ではなく、実在します。白っぽい大学の校舎とか、ナチュラルに飛び交う大量の赤とんぼ(監督は当たり前の情景と認識しているけど、一般の観客はちょっと異様に感じたとか)とか、ロケ撮影が観たことのないユニークな効果をもたらしているのは確か。

■正直、戯曲を読んだときにも感じたけど、ドラマ的にもコメディとしてもあまり秀逸ではなく、なんでそんなに人気があるのか謎の出し物なんだけど、本作のいちばんの美点は、まだまだボーイッシュな上野樹里に尽きるよね。ひたすら可愛い。愛しい。真木よう子もなんだか別人のように(?)若いけど。あたふたする瑛太(おなじみ)と、上野樹里を観てるだけで、ぼんやり幸せな気分に浸れるから、真夏の茹で上がった脳みそにはちょうど良い。



参考

maricozy.hatenablog.jp
本広克行は舞台が好きらしく、こんな傑作も撮ってます。これはホントに良い映画。
maricozy.hatenablog.jp
上野樹里は良かったなあ。いや、まだまだ現役ですが。
maricozy.hatenablog.jp
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