虹の女神 Rainbow Song ★★★

虹の女神 Rainbow Song [DVD]
虹の女神 Rainbow Song
2006 ヴィスタサイズ 118分
DVD
原案■桜井亜美 脚本■桜井亜美、齊藤美如、網野酸
撮影■角田真一、藤井昌之 照明■佐々木英二
美術■川村泰代 音楽■山下宏明
監督■熊澤尚人

■非常に他愛ない、まるで中学生のような恋物語をさも大事そうに物語るので、その点は寒いことこの上ないのだが、なにしろ上野樹里が主演なので魅せる。しかも、岩井俊二(プロデュースと脚本担当)スタイルのスケッチ風の浮遊感溢れるキャメラワークを巧くコピーしており、篠田昇とまでは言わないが、なかなか健闘している。VEがクレジットされているので、デジタルビデオ撮影らしいが、全体にフィルターワークでソフトな色調と輪郭を造形しているので、ここまで映像をいじるとビデオだかフィルムだか、どうでもいい気がしてくる。スクリーンで観ると、どう見えたのだろうか。

■なにしろ恋模様が異様に幼いので、せいぜい女子中高生向けの映画であり、大学から社会人になってゆく年代の観客にすら十分にアピールできないだろう。しかも、映画に登場する父母たちの家族の描写が異様に不自然で、そこに何を意味しようとするのか一向に理解できない。

■ただ、監督の熊澤尚人の映像センスは抜群で、水溜りに映った虹の情景のカットなど、ビジュアルセンスとしては圧巻の美しさ。上野樹里の男っぽいさばさばした”コダック娘”ぶり、もとい、監督ぶりにも惚れ惚れする。お話はあれだが、樹里カタログとしては満点あげるよ。

■製作はアミューズソフトエンタテイメントほか、制作はロックウェルアイズ。


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