京大シン・変人講座!『夜は短し歩けよ乙女』

感想

■京大生や京大付近にたむろする浮世離れした変人奇人たちの幻想的で妙にリアルな生態観察小説で名を成した(?)森見先生の有名小説のアニメ映画化。原作小説は未読なのであまり変な断言はできないのだけど、実は映画は予想以上に面白かった。テレビの『四畳半神話体系』がいまいちピンとこなかったのだが、本作も序盤こそ同じような居心地の悪さを感じるものの、中盤から終盤にかけて突き抜けた面白さがあった。

■その主因は監督の湯浅政明のオリジナルすぎるマンガ映画的個性なのだが、上田誠ヨーロッパ企画)の脚本にも注目する必要がありそうだ。『ペンギン・ハイウェイ』も意外に良かったからね。あまりベタベタしていないところが良いぞ。

■クライマックスの学祭でのゲリラミュージカルの場面も傑作。妙に本格的で上手いと思ったら、なんと声優に新妻聖子が動員されているじゃないか!そこでクライマックスかと思いきや、さらにその後に真のクライマックスがあって、なぞの風邪が蔓延して京都中が沈黙したあらしの夜(まさに今!)に、冴えない京大生のもとに黒髪の乙女という名の奇跡が訪れる!アニメ的にもぐにゃぐにゃ動く湯浅テイストがダイナミックで満開で圧巻だし、単純にラブストーリーとしても綺麗に着地する。さらに、楽曲が大島ミチルなので、所々に平成ゴジラを思い起こさせる大島節が炸裂するし、見どころ満載!

■この映画を観て、京大ってほんとにそんなところ?魔窟?と感じるだろうが、ほんとにこんな感じらしいよ。少なくとも左京区民の間ではそんな共通認識がある(元左京区民の個人的感想です)。例えばこんな事件がありましたよね。というか、この映画の影響では?
https://mainichi.jp/articles/20181030/k00/00m/040/096000cmainichi.jp

■さらに、さいきんの京大といえば、俵越山こと越前屋俵太がナビゲートする「京大変人講座」が有名ですね。パンツ総番長とか樋口師匠みたいなホントの変人は出てきませんけどね。書籍化もされて、しかも売れているらしいですぞ。立ち読みしていただくとわかりますが、実は真面目な内容を、関テレの『モーレツ!科学教室』の俵太氏*1が面白おかしくかみ砕いて紹介するという趣向で、非常に有意義なためになる本ですよ。この本は真面目に一読をお薦めします。
www.gaia.h.kyoto-u.ac.jp



■さて『マインドゲーム』の頃は苦手意識が強かった湯浅政明監督作品ですが、現在なんとNHKで放映中の『映像研には手を出すな!』も傑作確定のクオリティですからね、当分快進撃が続きますね。サイエンスSARUというスタジオのアニメスタジオとしての制作体制のユニークさにも興味が尽きないのだが。そういえば、『きみと、波にのれたら』っていう映画もいつの間にか公開されていたな!あれは良いのかな?
https://www6.nhk.or.jp/anime/program/detail.html?i=eizoukenwww6.nhk.or.jp

*1:当時は構内に入れず、正門前とかでロケしていたけど、いつの間にかすっかり中の人に。感慨無量だなあ。

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