砲艦サンパブロ ★★★★☆

THE SAND PEBBLES
1966 スコープサイズ 195分
DVD

■この歳になって初めて観る60年代超大作映画特集の第何弾かだ。なんとなくイメージ的にはマックイーンとマコの国籍を超えた友情物語という先入観があったのだが、実際のところはベトナム戦争の影響が大きく感じられる、非常にシリアスで苦い映画なので、ビックリした。60年代超大作映画は、大概は冗長で無意味な物量主義がその特徴だが、本作はドラマ性で傑出している。

■本作でのマックイーンはほとんど疫病神のような存在で、彼がサンパブロに着任したため戦闘は始まっていないのに艦内で人死が次々と出る。前半のクライマックスはマコが撃ち殺される場面で、後半はこれまた親友のアッテンボローが病死し、その中国人の妻(身重)まで共産党軍(多分)に殺されてしまう。その上、その犯人がマックイーンだと濡れ衣を着せられ、彼は艦内で完全に孤立、彼を庇った艦長の威光は地に落ち、艦長は誇り高き戦死を志向しはじめる。という死の連鎖がもたらす非常に暗く重いお話。

■お話の要点だけを抜き出せば、こんな陰鬱なお話が3時間の超大作になるはずないと思われるが、そこはロバート・ワイズの凄腕で、非常に端正な描写と娯楽性の高さで、有無を言わせず見せきる。ロバート・ワイズって編集出身の職人監督という印象で、どんなジャンルでもそれなりにレベルの高い映画を作ってしまうので、過小評価されている気がするけど、やっぱり凄いですよ。この映画一作だけでも、十分に凄い。

■60年代超大作3時間映画の系列のなかでは、明らかに異質な作品で、人海戦術のスペクタクルを見せる一連の史劇ものとは狙いが全く異なる。ちゃんと3時間の正統派ドラマを見せようとしている。一体何を狙ってこんな生真面目で自虐的な映画を作ったのかと問いただしてみたいものだ。

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