カリフォルニア・ダウン ★★★☆

San Andreas
2015 スコープサイズ 114分
DVD

■ロック様主演でサン・アンドレアス断層由来の大地震から家族を救い出す様子をこれでもかと真正面から描き出す大特撮映画。正直、主演のロック様は役不足で、たとえば『ファースター 怒りの銃弾』のような彼でなければという役どころではない。

■しかも、救難ヘリのパイロットなのに、仕事をほっぽりだしてヘリを私用に使い、自分の家族だけを救出に向かうという職業倫理に反した行動を堂々と描き出すものだから、全く感心しない。地質学者をポール・ジアマッティが好演するが、このエピソードとロック様はちっとも絡まない。この脚本は明らかに問題が多すぎる。

■というわけでロック様の魅力にも乏しい本作ながら、圧倒的に素晴らしいのはCGによる崩壊描写。これはミニチュア原理主義者の私が見ても、陶然とする大破壊絵巻で、溜飲が下がる。この監督のいいところはごまかそうとしないところで、全てを真正面から、しかもクリアに撮る。だから大地震に崩壊するフーバーダムもサンフランシスコの町も陽光降り注ぐ真昼間に、間接描写に逃げることもなく、キャメラがガクガク揺れることもなく、すべてが安定した画角で正攻法で描き出される。この自信はVFXのクオリティに裏打ちされていて、完全にミニチュアを超えたリアリティを実現している。特に秀逸なのはボートで津波を乗り越える場面だ。ロック様は弾けないが、このシーンの演出の弾けぶりと、大津波のハイパーリアリティは圧倒的だ。

■あーあ、スクリーンで観たかったのになあ。しかし、DVDで観ても大特撮の精細さには舌を巻くから、まあ、特撮者は必見ですね。凄い。

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