忠臣蔵異聞だけど、工夫が足りない『決算!忠臣蔵』

基本情報

決算!忠臣蔵 ★★
2019 スコープサイズ 125分 @アマプラ
原作:山本博文 脚本:中村義洋 撮影:相馬大輔 照明:佐藤浩太 美術:倉田智子 音楽:高見優 監督:中村義洋

感想

忠臣蔵をいろんな視点から捉え直したシン時代劇はいろいろあるのだけど、あまりうまくいってない場合があって、意外と打率は低い気がするのだけど、本作も残念作のひとつ。仇討ちにもお金がかかる!というその一点で構築したお話だけど、実際金勘定の部分だけが新味で、それ以外はあまり冴えない。仇討ち計画が予算内に収まるかどうか、それはサラリーマン諸氏にも共通する興味関心なので、そうした客層を狙ったのだろうけど、正直甘いので、サラリーマン諸氏は舐めんなよ!と毒づいたはず。要はひねりが足りないのですね。

■ただ、時代劇の作法としてはなかなか興味深くて、相馬大輔というキャメラマンがかなりユニークなルックを作っている。時代劇なのに手持ちキャメラがメインで、しかも徹底的に逆光狙い。さらにハレーションを積極的に狙って、というかあざといくらいにハレーションを利用して、時代劇ではあまり観たことのない映像を構築する。その映像スタイルはちょっと見もので、それだけで斬新な気がする。かなりユニークな取組だと思う。

■吉本製作なので関西芸人が続々登場するし、西川きよしはさすがに貫禄があるけど、岡村隆史の好演は褒めていいと思う。まあ、監督の使い方が上手かったんだろうけど、本作で一番印象に残る。なのに、あんな最期を用意するのは、脚本の誤算だと思う。観客は誰もあんな最期を望まないからだ。いかにも古臭い忠義であり、自己犠牲であり、ちっとも新しくないからだ。そもそも関西人には、あんな心性はないはず(でもないか?)だから、吉本は何に阿ったのかのだろうか?


参考

忠臣蔵異聞なら、こちらが秀作。土橋章宏は気が利いているのだ。
maricozy.hatenablog.jp
忠臣蔵映画はとにかくいっぱいあるのだ。
maricozy.hatenablog.jp
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