元禄忠臣蔵 大石最後の一日 ★★★☆

昭和演劇大全集(BS2録画)
昭和57年 京都南座 
作■真山青果 演出■真山美保
主演■松本幸四郎大石内蔵助)、片岡孝夫磯貝十郎左衛門)、実川延若(堀内伝右衛門)、中村雀右衛門(おみの)

■松竹の初代会長が二代目左団次のために真山青果に書かせた新歌舞伎の名作。昭和57年の南座顔見世公演が残っているのがNHKの凄さ。

■大石が”初一念”の大切さを語が、それは武士道云々ではなく、善悪や利害を超えた直感として、あるいは天命として降り注いだ、なすべきことに忠実に生きることの大切さと難しさを訴えているようだ。

■一方で、磯貝十郎左衛門の真意を確かめるため、男装に身をやつして現れるおおみという女の訴えかけには、武家社会のしきたりや倫理を超えた人間性の積極的な発露があり、この芝居が”新”歌舞伎である意義を象徴している。

■この戯曲を原作として、昭和32年に「琴の爪」という時代劇を東宝堀川弘通が撮っており、これはなかなかの佳作であるらしい。たしか、監督自身もお気に入りと語っていたはずだ。主役は中村扇雀で、三代目中村鴈治郎を経て今は四代目坂田藤十郎。是非、BS2で放映してほしいものだ。

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