バブルは崩壊し、1999年にレイバーは暴走する!今となってはすべて”昔話”だけどな!『機動警察パトレイバー the Movie』

基本情報

機動警察パトレイバー the Movie ★★★★
1989 ヴィスタサイズ 99分 @DVD
原作:ヘッドギア 原案:ゆうきまさみ 脚本:伊藤和典 作画:黄瀬和哉 音楽:川井憲次 監督:押井守

感想

■同じ映画は何度も観ない主義(?)だけど、なんやかんやで本作は一番多く見ているかもしれない。どんだけ好きやねん?と自分に突っ込みたくなる。

■とにかく脚本が良くて、情報量の多さも特徴だけど、ちゃんと終始サスペンスが効いているところが貴重。しかも押井守はアクション主義ではないので、約100分の映画なのにクライマックスの方舟殴り込みなんて15分くらいしかないのだ。1時間かかって、やっとシバシゲオの自宅で、風洞効果と共鳴現象による暴走のメカニズムが解明されるので、ほんとにロボットアクションは少なめ。

■でもレギュラーキャラクターの説明は省略できるので、いきなり事件から入って、事件の究明だけに集中できる。なので、100分程度のコンパクトな映画でもあり、観始めると止まらないのだ。

■今回改めて認識して驚いたのは、バブル崩壊前の映画だったこと。つまりバブル全盛期に作られて公開された。バブルに浮かれながら、その危うさをなんとなく感じ始めた時期だったろうか?いや、まだまだみんな浮かれて踊っていた時期だ。だから、ホバエイイチの原風景は1999年のそれではなく、1988年の記録なのだ。スクラップアンドビルドを繰り返しながら永遠に増殖を重ねてゆく運命を課された虚栄の都・東京。だが、生粋の東京人押井守はそこに失われてゆく東京に対する郷愁を重ねる。非東京人であるわれわれにとっては、東京なんてそもそも最初からそんな都市であったはずなのに。

■今の技術で作れば方舟の崩壊はもっと大掛かりで精細な大スペクタクルになるはずだが、そこはさすがに当時の技術では厳しい。後藤隊長がホバエイイチについて語るうちに、冒頭のホバと全く同じ顔になっている場面に、このたびやっと気づきました。

■あえて言えば、劇中の古いCGショットをもう少し綺麗にリメイクして差し替えても良い気はする。ほんとはやってはいけないことなんだけど、他の手描きアニメ部分が今見ても魅力的なので、明らかに古臭く見えるから、これはギリギリあり得るのではないか。ダメかな?


© 1998-2024 まり☆こうじ