バブルの恋人たち『鳥人戦隊ジェットマン』第2巻:備忘録

■第6話から第10話までを収録する。脚本はほとんど井上敏樹が書いているのかと思いきや、意外にもいろんな人が書いてますね。知らんかった。

第9話「どろんこの恋」(脚本:川崎ヒロユキ、監督:蓑輪雅夫)がオーソドックスなよくあるお話なのに今観ると結構沁みる。バブル期の恋人たち、しかも地方出身者のぎこちないデートシーンが、痛々しくて笑えない。ジェットマンは1991年2月から始まったので、まだバブル崩壊のキワキワだったんですね。当然、劇中の風俗はまだバブル期のイケイケムード満開で、登場する女子たちのメイクの濃さとかファッションの厳つさとか、味わい深いものがあります。いや、懐かしくて楽しいですよ。

■一方で東映大泉で戦隊シリーズを作っているおじさんや若いスタッフたちには、ほとんどそんな恩恵(?)はなくて、製作費すら絞られるし、バブルってどこの国の話?って感じだったはず。そんな違和感が素直に表現された良作です。

■対する第10話「カップめん」(脚本:荒川稔久、監督:蓑輪雅夫)はギャグ路線に振り切った悪ノリのケッサクで、これも懐かしい戦隊シリーズの味わい。カップめんの神って、浦沢義雄オマージュでしょうね。さらにセブンの「狙われた街」をイメージしているのかなあ。違うか。ゴッドラーメンの念入りな造形に感動しますわ。

■第6話「怒れロボ」でジェットイカロスがやっと登場するものの、なんと戦闘シーンは佛田洋が撮っていない!通常、巨大ロボの初回戦闘シーンはパイロット版として特撮監督がバンクシーンと一緒にリッチに撮っていたのに、これはどうみても予算削減ですよね。配役も含めて小粒だし、シリーズ打ち切りムードが漂っていた時期なので、露骨な緊縮財政だなあ。

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