立喰師列伝 ★★★

立喰師列伝
2006 ヴィスタサイズ 104分
TOHOシネマズ二条(SC5) 
脚本■押井 守
撮影■坂崎恵一 ビジュアルエフェクト■江面 久
3DCG■IKIF 音楽■川井憲次
演出■西久保利彦
監督■押井 守


 立喰師という押井守の考案した謎のキャラクターを通して、虚実皮膜の間に戦後史を語りつくそうとする、一種のアートアニメーション。いったいどんな観客層を想定したのか、何故TOHOシネマズで公開されるのか、謎が謎呼ぶ異色作。

 月見の銀二、ケツネコロッケのお銀、哭きの犬丸、冷やしタヌキの政、牛丼の牛五郎、ハンバーガーの哲、フランクフルトの辰、中辛のサブというそれぞれの時代を象徴する立喰師たちの姿を、架空の民俗学者やライターたちの著作を交えて、ひたすら押井節で語られる。「うる星やつら」のめがねが100分間しゃべり続けるような映画を想像すると間違いが無い。

 実写を平面的に加工して、切り絵アニメ風にデジタル技術で動かした技法が、無駄に凝っている。真っ当に、2次元アニメで十分ではないかと思われる。

 普通の観客が1800円払って観れば、確実に金返せと叫ぶに違い無い映画だが、「紅い眼鏡」よりは面白かった気がするから許すよ。

 樋口真嗣品田冬樹らがデジタル役者として登場するので、特撮ファンは必見?証言者として登場する「自称映画助監督・金子勲」とは、「小さき勇者たち」で案外凝った特撮演出を披露しているらしい金子功のことか?

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