■#14「月下の記憶」(脚本:小柳啓伍 監督:田口清隆)は陸自一択と宣言していた田口監督の空戦エピソードで、デルタンダルの高速飛行と目まぐるしいVFXとリアル志向の暗い映像設計が見どころで、寺田農があやしい高官役で登場する力作。これが硬派なブレーザータッチの傑作。
■#15「朝と夜の間に」(脚本:中野貴雄 監督:田口清隆)は田口監督の本編演出の腕の良さが際立つので悪くないけど、どこからともなく工事現場の杭打ち音が聞こえてくるとか、いつの時代の話?もっと、今の時代の空気を描かないといけないよね。
■#16「恐怖は地底より」(脚本:継田淳 監督:辻本貴則)はなんといってもモグージョンのインパクトに尽きますね。特撮演出の精度がいまいち冴えないのは、前作までと本シリーズの大きな違いで、制作体制がシュリンクしたのだろうか。おなじみの内引きのショットも含めて。でも、モグージョンのビックリ&ドッキリ能力は単純に楽しい。そこが回転するんだ!
■#17「さすらいのザンギル」(脚本:継田淳 監督:辻本貴則)はウルトラらしい傑作なんだけど、ブレーザーの特撮美術班は前作までと大分調子が違って、ちょっと寂しいし、辻本イズムが十分に弾けないのが惜しい。でも監督自身がデザインしたザンギルのデザインはシンプルに完成された傑作。
■#20「虫の音の夜」(脚本:根元歳三 監督:武居正能)はアンリがやたらと虫、虫言って騒ぐけど、ズグガンはでっかい口があるし、太い立派な尻尾まであって、ちっとも虫には見えないよね。でも特撮演出は明らかにレギオンをイメージしていて、ミニチュア特撮に豪快な見どころが多い。特に巨大ズグガンは正統派怪獣の貫禄がある。
■#22「ソンポヒーロー」(脚本:足木淳一郎 監督:中川和博)は金井勇太と山口果林(!)の共演という(誰が嬉しいのかよくわからないけど、個人的には大好物の)豪華編。二人のベテラン俳優の演技をしっかりみせつつ、派手に弾けるマッチムーブ合成を奢って、怪獣たちの個性も十二分に発揮する傑作。特撮の量感と合成の精度も見事だし、本編の役者の個性をしっかりと描き分けたあたりの筋の良さは、素直に感心した。中川和博、なかなか大物だなあ。
■#23「ヴィジター99」(脚本:小柳啓伍 監督:中川和博)は、同じ小柳啓伍の脚本でも監督によってずいぶん雰囲気が違うんだなあと感じさせる作品。シリーズのメインストリームのど真ん中のお話だけど、田口清隆ではなく中川和博が撮り、その演出スタイルの差が興味深い。田口監督なら、俳優部の演技のリアルなニュアンスと映像の臨場感を強調するだろうけど、中川和博はあくまで堂々と引いて、脚本通りに客観的に撮る。でも特撮パートはボリューム満点だし、デルタンダルの空中戦もセンスが良いぞ。