もっと魅せてよ、ブレーザー!ウルトラマンブレーザー完結!短すぎるのが欠点だ!(感想/レビュー)

ウルトラマンブレーザーが終わってしまいました。やはり2クールのシリーズはなんとなく不完全燃焼感が残ります。せめて3クールはほしいと思います。半年後くらいからスタッフもキャストも弾みがつくし、お話の幅が広がるし、という経験を昔のテレビドラマで知っているから惜しい気がします。この座組であと13本作れれば、画期的なシリーズになったと思いますけどね。

#24「第三波接近襲来」#25「地球を抱く者たちへ」(脚本:小柳啓伍 監督:田口清隆)は#23からの連続ものなので、実質的には3話連続の最終エピソードだけど、それでももう1話ほしいところ。最終話がかなり駆け足になってしまったのは勿体ない。途中からなんとなく漂わせていたウルトラマンガイア風味を、もう隠そうとしない。トリガー、デッカーと来て、本来はガイアのリブートを企図していたが、田口監督の意向で大幅に世界観はリセットされたものの、シリーズ構成としては当初の企画意図を律儀に残したということだろうか。

■地球人に撃墜されたV99の残したオーパーツを使ったワームホール発生実験中に、どこかの未知の空間に接続される事故が発生、銀河の彼方からブレーザーがやってきた(という解釈で合ってますか?)。なのでブレーザーの正体は最後まで明かされず終わりましたと。最初は、未開のウルトラマンが進化して喋りだす、文明化するというお話かと思ったけど、最終回でやっと日本語を少し習得した段階で終わったので、どうしても今後に期待するなあ。ギンガがギンガSとして戻ってきたように、ブレーザーについては続編がありうるのではと期待しますが、いかがでしょうか。

■作劇的な問題としては、V99との交信がずいぶん慌ただしいことで、全体の尺有りきでバランスが構成されているから、割りを食うところではあるけど、シリーズ全体のテーマに関わるところだし、もう少し時間をとって丁寧な描写が欲しかったところ。子どもたちが日々目にする、戦争があるこの世界の現実に対して、新しい世代は頭ごなしに武力で物事を解決しようとはしないことを宣言して、大人としてとても有意義なメッセージを提示したのだから、もう少し尺が欲しかった。でもテーマ性の構築と深耕の具合としてはコスモス以来の成功作だと思う。(なにしろコスモスは延長があって、じっくりと深掘りできた)

■ちなみに、宇宙爆弾怪獣という危ない別名を持つヴァラロンは雇い主のV99に見捨てられて可哀想なことになりました。V99も撤退するならヴァラロンも一緒に引き上げるのが筋でしょうに、無責任だし、礼儀を知らない連中ですね。あとはご勝手に始末しておいて!という、なかなか悪辣な知的生命体のようです。ホントに友好的な知的生命体だったのかなあ。やっぱり、これ続編ありきだよねえ。。。

特撮美術チームの交代について

■ちなみに、これまでのシリーズに比べてブレーザーの美術装置が簡素なのは特撮美術チームが入れ替わったためらしい。デザイナーが木場太郎から稲村正人に交代して、美術助手チームも入れ替わっている。

■これまでその中に、梶政幸という美術助手チーフがいて、どうもこの人がミニチュアセットの前景に精緻なジオラマを組んでいたらしい。この人が抜けて、ミニチュアの作り込みが凄いだろ!どや!といった見せ方がブレーザーではなくなった。それはかなり残念なことだったし、辻本貴則が特に影響を受けたように思うけど、特撮演出全体の狙いだったかもしれない。予算的には明らかに新怪獣のぬいぐるみ制作にまわっているだろうから、その制約もあったはずだし。

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