これはかなりの傑作ドラマ!芥川賞受賞作のドラマ化。NHK土曜ドラマ『スクラップ・アンド・ビルド』

■原作:羽田圭介 脚本:香坂隆史 音楽:サンガツ 演出:川野秀昭

■人間、年をとると、使わない機能は確実に衰えてゆく。そう聞いたボクは、何もいいことはないから早く死にたいと言うじいちゃんのために、なにもしなくていいように全生活のサポートを始める。じいちゃんを安楽に死なせてあげる親切のためだ。でもそのためには自らの身体を鍛える必要があり、たまたま目にした女ボクサーの「破壊と再生」というメッセージが心の支えとなるが。。。

■なんと羽田圭介芥川賞(!)受賞作をNHK 大阪のスタッフでドラマ化したという2016年12月放映の意欲作。出演は柄本佑山下リオ浅香航大秋元才加浅茅陽子山谷初男という豪華版で、山谷初男はまだまだ元気そうだけど、2019年に亡くなっている。遺作ではないけど、最晩年の代表作だろう。

■原作小説は読んでいないけど、おじいちゃんを死なせてあげるために、すべての負担を引き受けるという青年の行動を「革命的行為」として自認するあたりの「痛さ」が切実に凄くて、よく思いついたと感心するけど、そんな役を演じて説得力があるのは、当時の柄本祐しかいないよね、実際。この配役ですべての歯車が滑らかに回ることになったと思う。配役一発勝負ですね。実際、静かな狂気をナチュラルに演じる柄本佑は完璧だし、独壇場。その恋人役が山下リオで、ラブホテルの場面があるのは、さすがにNHKですね!妙に(場違いに)色っぽくていいですよ。

■結局、自分が殺そうとしていたのはおじいちゃんではなく、自分自身だったと気づくという決着も、あたりまえとはいえ、十分に納得のできるもので、いやあ、ドラマらしい良いドラマ見せてもらいましたよ。『死霊館のシスター 呪いの秘密』なんて、スカスカの映画を観た後では、ホントに溜飲が降りましたよ。ちゃんとしたドラマは良いものですね。役者が揃えば、予算規模はまったく関係ないですね!(不都合な真実!)

参考

www6.nhk.or.jp

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柄本佑は、これが最高でしたね。望月六郎の『便利な女』は、いまはなかなか観られないけど、かなりの傑作なのできっと近い将来再評価されるでしょう。(間違いない)
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これはさすがに柄本佑、上手いと感じましたね。貫禄を身につけました。文句なしの傑作なので、必見。
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それに比べると、まあ、こんな映画に出てる場合じゃないよね。柄本佑にとっては、まさに役不足で、ミスキャスト。
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